見出し画像

”水を運ぶ人”と”名もなき家事”

 オシムジャパン時代に日本代表だった鈴木啓太。チームのために献身的に走る彼をオシムが「水を運ぶ人」と表現していました。また、鈴木啓太のことを中村俊輔は「チームのバランスを見て、嫌な仕事もできるのが啓太の人間性だと思う」と言っていたそうです。「水を運ぶ人」って良い表現だし、素敵だなと私は思います。フォワードのように目立つ仕事はしないけど、相手からボールを奪ったり、こぼれたボールを回収して、フォワードにボールを運ぶ。「水を運ぶ人」がいないとボールがフォワードに渡らないわけで、チームにとって欠かせない存在なわけです。

名もなき家事

 昨年、少し話題になった「名もなき家事」(私は最近、妻から聞いて知ったのですが)。名もなき家事とは、代表的な家事である料理や掃除、洗濯と言った代表的な家事の周辺にある名称のない細かな家事のこと。例えば、買い物から帰ってきて冷蔵庫にしまう、加湿器の水がなくなったら足す、乾いた服を畳んでしまう、などなど。細かい作業だけど、これらが動きがないと家庭は円滑に回らないわけで、これは大事な作業。妻から「名もなき家事」の話を聞いた時に、思い出したのが冒頭でお話した「水を運ぶ人」だったのです。名もなき家事は、少し面倒で地味で、でも誰かがやらないといけない。まさに「水を運ぶ人」そのものだと思うのです。

ベンチャーでも大事な「水を運ぶ人」

 大きな企業だと、デスクの近くにあるゴミ箱はビルの担当者の方が毎日、ゴミを回収してくれますし、郵便物だって担当者の方が運んでくれる。こんな当然のような営みも、ベンチャー、特にアーリーステージの企業は全く異なるわけです。自分で部屋を掃除したり、ゴミを回収所まで持っていくし、郵便だって郵便局に持っていく。そんな非生産的なことは誰かに任せればいいんだよ、そんな風に思う人もいるかもしれません。それはそれでありだと思います。ただ、僕はアーリーステージのベンチャーだからこそ、メンバーが気持ちよく、働きやすい環境って大事だと思うし、そういう環境をみんなで作っていくことも大事だと思います。そして、気持ちのよい環境が結果的には生産性の高さに繋がる(ファクトはありませんが)のではないかと感じています。アーリーステージの企業はエッジの立った人材、まさにサッカーでいうところのフォワードは必要だと思います。ただ、環境を整えるような地味で面倒なことだって自分ゴトとして、進んでやることを厭わない「水を運ぶ人材」も大事だなと思うわけです。ただ、究極的にはメンバー全員が水を運ぶことを厭わないスタンスであることが大事だと私は思うので、そういう会社にしていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?