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【一灯照遇】No.49 さよならばあちゃん

先日、コロナウイルスのワクチン2回目を摂取してきました。当日は何もなかったのですが、翌日からひどい倦怠感と悪寒が…。一日中真冬の格好でガタガタ震えていました。

自分で言うのもなんですが、私は社会人になってから風邪やインフルエンザに罹ったことがなく、家族が罹患していてもなぜが一人だけ平気なんです。そんなこともあり、体調を崩すことにあまり慣れていません。久々に病気のしんどさを味わいました。

同時に、健康のありがたみも再確認。40も近くなると、しみじみと感じられるものです。普通に歩くことができる、食事ができる。酒が飲める!なんと素晴らしいことでしょう。当たり前のことが実はそうではないのだ、ということをわからせてくれるので、たまには体調を崩すのも悪くはない、かもしれません。

それから、しんどい人の気持ちにも共感しやすくなれますね。


話は変わります。8月のことですが、熊本にいる祖母が亡くなりました。93歳で死因は老衰。何かの病気で亡くなることが多い現代で、珍しいよね、なんて家族で話していました。

今年の正月にテレビ電話で会話をしたのが最後となってしまいました。その時はとても元気だったのですが、圧迫骨折をしてしまったために寝たきりになり、それからは弱るのが早かったそうです。なんでも一人でやりたい性分なので、動けない、働けないとなると、気力までなくなってしまうのでしょうか。最後は意思の疎通もままならないまま、夏の終わりの明け方に息を引き取りました。

祖父が亡くなってから約6年間、田舎の広い家に一人暮らしを続けていました。母が何度一緒に住もうと言っても、一人にこだわって、「一人が気楽でよか」と言っていたそうです。子どもの世話になることがいやで、自分のことは自分でする独立心の強い人でした。

病院の先生にも「何とか自分一人で暮らしていけるように治療してください」と頼み続けていたようです。

祖母の庭には畑があり、いろんな野菜を作って半自給自足のような生活をしていました。戦後、4人の子供を育てるために、野菜を作ってリヤカーで町まで売りに行ったという話を以前祖母から聞いたことがあります。そんな時代を生き抜いてきた人は本当に強いなと思います。

そういえば、大学で東京に出ることになった時に、「大輔、あんた人様に迷惑だけはかけちゃいけんばい」と言われたことを思い出しました。そして帰省するたびに同じ言葉を掛けられていました。
「酒もタバコもよかばってん、人様に迷惑だけはかけちゃいけんばい」


そんな祖母の葬式でお経をあげてくれたのは、私の幼稚園からの幼馴染でした。彼のお寺の檀家ではないのですが、四十九日まで特別、ということで、うちの檀那寺も納得。彼も小さい頃から祖母を知っているので、お世話になったばあちゃんのためなら、と言って引き受けてくれました。

幼馴染がお経をあげている姿を見るのも変な気分でしたし、まさか相手が祖母だとは…。「お互い年取ったねえ」と言いながら久しぶりの再会。

「慈等」というありがたい法名までつけてくれました。『小さい頃から知っている私の祖母は、誰にでも分け隔てなく慈しみの心で接しているように見えたから』だそうです。そんな法話を聞いて私もホロリと来ました。おばあちゃんって誰にも優しいですよね。


そんな祖母に想いを致しながら考えるのです。ばあちゃんは満足して逝ったやろか、と。戦後は貧乏して子供を育て、次は孫の世話をして、落ち着いたかと思ったら今度は祖父が倒れ…。思えば祖父が亡くなってからの6年間の一人暮らしが祖母が一番自分の為だけに生活できた年月だったのではないかな、そんな気になりました。

祖母から受け継いだ命が私の娘たちにもつながっている。それがこの先も続いていくかもしれない。そんなことを思うと、命の奥深さのようなものを感じる秋の入り口です。

以上


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