見出し画像

目・耳・口<今月の”美味しい”情報>

▼〔ワインで育った牛〕

山梨県甲斐市の「小林牧場」で飼育される1200頭の肉牛は、『甲州ワインビーフ』と名付けられている。ここでは生後6カ月頃から、ワインを作る過程で出るブドウの皮や種のワイン粕を醗酵させたものを、飼料に混ぜて与えている。ブドウの皮や種にはポリフェノールなどの成分が多く含まれ、それらが肉質を柔らかくし、臭みの少ない赤身の美しい牛肉にするという。

家族で味わうなら、『バラカルビ焼肉用500グラム』(2743円、税込)。サシが入りすぎない赤身は、きめ細かな肉質で、噛むたびに甘みが感じられる。ステーキ用もおススメ。(問い合わせ先・小林牧場直売センター美郷 ☎055・267・7640)

▼〔焼エビとパスタ〕

東シナ海に面する鹿児島県阿久根市は、古くから漁港として栄えた。水揚げされたエビを焼エビにし、そこからとった出汁の雑煮は、薩摩の食文化の象徴でもある。

「下園薩男商店」では、香味豊かな焼エビを丸ごと使い、パスタソースに仕上げた『旅する焼エビ』が人気だ。「薩摩の焼エビが世界を旅したら、どんな味になるのか……」という発想から生まれ、『大葉のジェノベーゼ』『醤油のトマトソース』『うに醤のペペロンチーノ』の3種を販売(120グラム瓶入り3本セット3132円、税込)。パスタに絡めるだけでなく、ジェノベーゼは白身魚、トマトソースは肉と相性がよく、ペペロンチーノはアヒージョにも出来る。(問い合わせ先・下園薩男商店 ☎0996・73・3104)

▼〔濃厚なミルクジャム〕

白と茶色の模様をしたガーンジィ牛は、イギリス領チャネル諸島のガーンジィ島が原産の乳牛だ。ホルスタインに比べて体格が小さく乳量が少ないが、その牛乳は乳脂肪分やタンパク質が多く、やや黄色味を帯びているのが特徴。日本での飼育頭数は少なく、200頭ほどになる。

栃木県那須町の「南ヶ丘牧場」では約70年前に飼育を始め、ガーンジィ牛乳の乳製品にもこだわっている。『ミルクジャム』は自慢の1品。牧場で搾った牛乳を、牧場内の加工場の大鍋でじっくりと煮詰めた。牛乳のコクを凝縮させた濃厚さだが、後味はさっぱり。トーストに塗ったり、果物やヨーグルトとあわせるのもいい。コーヒーや紅茶に入れると贅沢な味わいに。125グラム入り瓶580円、税込。(問い合わせ先・那須高原南ヶ丘牧場 ☎0287・76・2150)

▼〔世界に誇る名水〕

福島県の金山町は、炭酸を含んだ水が湧き出ることで知られている。天然炭酸水としては珍しく、軟水で微炭酸なのが特徴だ。明治時代には上流階級で愛飲された。

100年の時を越え、その名水を現代の食卓に甦らせたのが、「ハーベス」の『奥会津金山 天然炭酸の水』。炭酸水特有のきつい口当たりはなく、まろやか。2016年のG7伊勢志摩サミットや19年のG20大阪サミットの卓上水にも採用された。日本が世界に誇る水で、喉を潤したい。350ミリリットルペットボトル30本入り4500円(税込)。

▼〔洗わない入浴法〕

香川県綾川町の勇心酒造は、日本酒製造のノウハウを用いて発酵させた米の成分を、ヘルスケア商品に活かしている。入浴剤「アトピスマイル薬用入浴液」は、疲労回復や肌の改善効果などが確認されており、医薬部外品として認められている。1987年から続くロングセラーだ。5代目の現社長が酒風呂の民間伝承をもとに考案した。

独自開発されたライスパワーNo.1-Dという有効成分は、20種類以上の遊離アミノ酸で構成されている。入浴するだけで垢が落ちやすくなる洗浄効果があり、介護施設に「洗わない入浴法」を提案している。入浴介助の人手が2人から1人になるなど、負担軽減に役立つため好評だ。保湿効果も実証されている。実際に肌の痒みが緩和されたと、施設利用者から喜ばれているそうだ。研究開発部の松野孝祐部長は「多様な成分が複雑なメカニズムで作用しており、漢方薬のようにユニークです」と語っている。公式通販サイトで購入でき、5回分セットも販売中だ。(問い合わせ先・勇心酒造 ☎0120・73・4141)

▼〔オンラインで美術鑑賞〕

「美術館は心の病院」。これはアンリ・マティスに師事した香川県出身の洋画家、猪熊弦一郎の言葉だ。

コロナ禍で世界の施設が休館を余儀なくされる今、美術の価値を再認識している人は少なくないはずだ。そこで今回は、家に居ながらオンラインで鑑賞できる美術館・博物館を紹介したい。利用するのは、Google提供の「Google Arts&Culture」。登録されている館のコレクションの一部がバーチャル空間で鑑賞できる無料サービスだ。代表的なところでは、東京国立近代美術館や京都国立博物館。そして、海外だと、ミレーの落ち穂拾いやゴッホの自画像などを収蔵するパリのオルセー美術館。あの大英博物館も名を連ねる。多くの人々に感動を与えてきた名画や作品に触れ、心の免疫力も高めたい。



【編集部よりお知らせ】
文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「# みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載された記事への感想・疑問・要望、または記事(に取り上げられたテーマ)を題材としたエッセイ、コラム、小説……などをぜひお書きください。投稿形式は「文章」であれば何でもOKです。編集部が「これは面白い!」と思った記事は、無料マガジン「# みんなの文藝春秋」に掲載させていただきます。皆さんの投稿、お待ちしています!

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください