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「12人の怒れる男」2020@シアターコクーンを観劇して〜12人の俳優陣の熱演〜

こんにちは。あきです。

きょうは、「12人の怒れる男」の舞台を観劇してきました。ものすごく久々にストレートプレイの舞台を観ました。

なぜ今回、観に行ったかというと、それは演目が「12人の怒れる男」だったからです。私は大学時代に見たこの映画が好きで、これを舞台化するならば、ぜひ観たいと思ったのです。

行ってみてびっくりしたのは、俳優陣の顔ぶれ、なんと豪華なこと。舞台はセンターステージで、客席がぐるっと囲むかたち。舞台上にはテーブルと椅子、給水機とベンチ、天井からは扇風機と照明のみというシンプルさ。

2時間の法廷もの、12人の陪審員たちの会話だけで紡がれる舞台。

まさに一人一人の役者が、その登場人物として、その場にいました。

私は映画で見た細かいストーリーは忘れていたので、細かい話は舞台を見ながら紐解きできて愉しめました。

主人公を堤真一が演じていました。誠実で正義感のある、熱血漢を好演していました。

陪審員たちが議論しているのは、父親殺しの容疑がかけられている息子の有罪か無罪かの審議です。陪審員が全員一致の有罪の判決にいたると、同時に少年の死刑が確定します。この審議は少年の命のかかっている審議なのです。

細かいストーリーはネタバレになるので割愛しますが、審議を通して、陪審員たちの人間性が炙り出される内容です。

結末は知っているものの、最後まで観て、俳優陣のみなさまの好演に拍手!でした。

台詞以外からも立ち上がってくるそれぞれの人物像が舞台上に生きていました。

途中、重いなーと思うものの、時代背景や無作為に選ばれた陪審員たちの一人一人の背景に思いを馳せると、こういう世界もあるし、これは世界のほんの一部分だなぁと、改めて思いました。

法廷もの、陪審員に興味のある方は、「12人の怒れる男」の映画を見てみたらおもしろいですよ( ^ω^ )



以下、私の備忘メモです。

■キャスト
陪審員長(陪審員1番):ベンガル
陪審員2番:堀 文明
陪審員3番:山崎 一
陪審員4番:石丸幹二
陪審員5番:少路勇介
陪審員6番:梶原善
陪審員7番:永山絢斗
陪審員8番:堤 真一
陪審員9番:青山達三
陪審員10番:吉見一豊
陪審員11番:三上市朗
陪審員12番:溝端淳平
※陪審員番号順
警備員:阿岐之将一

■キャストへの観劇メモ
陪審員長(陪審員1番):ベンガル→サザエさんの波平さんのような存在感で舞台の一番の安心感になっていました。淡々と変な先入観や偏見がないフラットな役回りを好演。たまにカッとなる時もありましたがね、総じて大人の対応でした。一番自然体に見えました。

陪審員2番:堀 文明→たまに笑いをとれるくらい、役にハマっていました。自分への侵害に頭に来るのですね。10番の暴言に対して「あなた、何の権限があって」という言葉が印象的です、本人に直接は言えないという小心さも伝わってきました。

陪審員3番:山崎 一→最後の最後が見せ場でした。自分との息子との関係性の葛藤、これに気づけて良かったのではないでしょうか?8番の「あなたの息子ではない。人様の子です。」この言葉にご本人が、会場中が、出演者が、救われた気がしました。10番と一緒に舞台の展開を引っ張っていく気を発散させる役所でした。

陪審員4番:石丸幹二(株のトレーダー)→合理的に合理的に、誠実に有罪陣営の論をはっていた常識人でした。1番同様に安定感のある、途中まで8番の対をなしていた存在でした。

陪審員5番:少路勇介→スラムの出身という出自を背負った役を、10番の攻撃対象として張り合っていました。

陪審員6番:梶原善(ペンキ塗り職人)→表情で語るなぁという演技でした。正直で素直な感覚が伝わってきました。お年寄りを敬う姿勢も堂々と振る舞える役。8番に対して「少年が本当は有罪で、我々が無罪を出した場合はどうなるのか?」という素朴な疑問は良い問いかけでした。あの場面好きですね。

陪審員7番:永山絢斗(営業マン:マーマレード)→野球のナイター雨で残念でした。本音で軽い若者を等身大のように演じていて、場に緩急を与える重要な役でした。

陪審員8番:堤 真一(建築家)→誠実な主人公の人柄がよく出ていました。よく窓の外を見つめていた表情が印象的です。審議の始まる前から、あなたはこの場で自分の心の真実に誠実でした。有罪の確信はないという、合理的な疑いに正直だった勇気と気概がこのストーリーの要(かなめ)です。

陪審員9番:青山達三→高齢でも熱血漢ですねー。見ていても心配になるくらい老人然としていました。若造たちのなかにあって、老紳士でした。終盤のメガネの件はお手柄ですね。

陪審員10番:吉見一豊(車修理工場の経営者)→こういう愛すべき存在、身近にいるなぁというおじさんをチャーミングに演じていました。終盤の暴言・吐露の場面はみんなもうお腹いっぱいでした。。。お疲れ様です。一番、演じる上で熱量が必要だった役だと思います。最後の心変わりのあっけなさには役の人柄が出ているなぁと思いました。

陪審員11番:三上市朗(ドイツからの移民・時計職人)→誠実で心優しい時計屋のジェントルマン、序盤はメモを取りながら考察している寡黙さ。所々で、誠実さをきちんと指し示す強情さ。心からの誠実な声が癒しの存在でした。ドイツからの移民だからこそ、民主主義への羨望がある、台詞から十二分に背景と人柄が伝わってきました。

陪審員12番:溝端淳平(広告営業マン)→陪審員を楽しんでいる若者、ヘラヘラと無駄な話をしたり、不真面目ではありましたが、場を和ませようと愛嬌を振りまいてもいた。10番が9番に向かっていた時、盾となり、毅然と立っていた姿が印象に残っています。

※陪審員番号順
警備員:阿岐之将一

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