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LIBRARIAN|維月 楓の小部屋

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モーヴ・アブサン・ブック・クラブの司書、維月楓の小部屋。詩人・研究者・翻訳家。古今東西の女性/クィア詩人の作品を読み解くことを通して、新たな生の軌跡に敬愛を捧げている。
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#ギャラリー

【別便】スクリプトリウムvol.3|維月 楓 & 永井健一 & Du Vert au Violet《2》|プライヴェート・ポプリ〜アンソロジー・シリーズ

Text霧とリボン  六日間に渡りお送りしたオンライン開催 霧とリボン企画展は、一昨日無事閉幕致しました。アーカイヴはいつでもここスクリプトリウムに保管されていますので、折に触れて、馨しい植物標本をご高覧頂けましたら幸いです。  本日は、菫色の写字室の残り香として「別便」をお届け致します。 *  小壜シリーズに続き、プライヴェート・ポプリの《アンソロジー・シリーズ》をご紹介致します。  はじめてプライヴェート・ポプリに触れる方に、特におすすめのシリーズです。ての

スクリプトリウムvol.3|維月 楓 & 永井健一 & Du Vert au Violet《1》|プライヴェート・ポプリ〜小壜シリーズ

Text|霧とリボン  ブランド設立を記念して調香したポプリは、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』冒頭より、少年オーランドーが自然の中で詩作する3つの光景が題材です。  「Nature and Letters|自然と文学」「Sixteen|16歳」「A Summer’s Evening|夏の夕暮れ」と題した3つのポプリを、「小壜シリーズ」と「アンソロジー・シリーズ」2つのパッケージで展開します。  本日は小壜シリーズのご紹介です。  永井健一さまのドローイングを

スクリプトリウムvol.3|永井健一《2》|詩作するオーランドー

Text霧とリボン  秋風がカーテンを揺らし、スクリプトリウムにひらかれた一冊の書物のページの上を過ぎりました。  月桂樹、楢の木、サンザシ、シダ——夏の追憶と共に、ページから、様々な植物の青々しい香りが漂ってきます。  ひとりの少年が詩作する風景を、ひとりの画家が描きました。  本ドローイング・シリーズの題材は、ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』。  本展にてローンチする霧とリボンのポプリブランドとのコラボで発表する、オリジナルのトワル・ド・ジュイのため

スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《1》|丘へ

Text維月 楓  ヴァージニア・ウルフが1928年に書き上げた『オーランドー』。男性から女性へと変身し何百年の時を生きぬいた主人公の物語は、ウルフの先見性に驚かされる魅力に満ちた小説です。  今回の企画展では、オーランドーの少年時代がカリグラフィ作品となりました。果敢で早熟ながら少し不器用な少年が、「孤独」という人生の宿命を初めて味わった姿が瑞々しく描かれた一場面です。  まず目を引くのは、うねるような文字の流れと色の移り変わりでしょう。「ぼくはひとりきりだ」と呟

レース模様の図書室、再訪|維月 楓&霧とリボン|架空のアブサン酒《F203》

TextKIRI to RIBBON  菫色の図書室への再訪も今日が最後——もうすぐ閉じられる扉を想いながら、新緑の中を歩いてゆきます。  どこからともなく、花々の香りが漂ってきました。香りは風に乗って消えてはまた現れ、図書室への道を一緒に楽しんでいるかのよう。  厳かな気持ちで扉を開け、入室します。花々の香りはいったん古い書物の匂いの中に消えてゆきましたが、ある書架の前で、ふたたびその香気を濃く深くするのでした。 * * *   アメリカの詩人の詩集が並んだ書

温室の別扉《2》|新訳付作品集『Emily’s Herbarium』

 温室の馨しい風景を植物標本のように綴じた箱入アートブック、新訳付作品集『Emily’s Herbarium』を限定刊行いたします。  ウィリアム・モリスのケルムスコット・プレスに憧れて、1999年プライベート・プレス「Club Noohl」を設立、これまで限定版アートブックや蔵書票を制作発表してきました。今回は2018年以来、久しぶりの刊行となります。    アンティークの植物標本をイメージして、全ページ手切り紙を使用。別刷り作品ページは押し花をするように一枚一枚手貼りし

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|DAY 1

 本日、画家・金田アツ子さまとアクセサリーブランドBelle des Poupee様の二人展《エミリー・ディキンソンの温室》が開幕しました。  秋の一日、温室を訪れて下さいました皆様に、心より深くお礼申し上げます。  19世紀アメリカに生きた詩人エミリー・ディキンソンと、現代日本に生きる画家、アクセサリー作家、翻訳家が出会う本展。温室には、四人の女性たちが育てた花々がひそやかに咲き乱れています。皆様、お楽しみ頂けましたでしょうか。  同時刊行の新訳付作品集『Emily

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|温室の風景|DAY 1

 19世紀アメリカ——ひとりの女性が大切に花々を育て、サンクチュアリとして慈しんだ温室。そこからひそやかに花ひらいた、朝露のごとき詩篇の数々。  紙片に遺された一篇一篇に、画家・金田アツ子さまとアクセサリーブランドBelle des Poupee様が出会い、それぞれの花を育て、新しい温室が生まれました。詩人との馨しい対話の軌跡をここにお届けいたします。  エミリー・ディキンソンの温室へ、ようこそ—— * * * * * 作家名金田アツ子 作品名|花が咲く 油彩・シ