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広い広いこだわらないこころ 〜般若心経のこころ〜

九條です。

日本の仏教各宗派で読まれている一番ポピュラーなお経といえば『般若心経』でしょうか?

もっとも、浄土真宗系と日蓮系では読まないようですが…。

さて、その『般若心経』の末尾にある謎のアソコの部分…。

「羯諦  羯諦  波羅羯諦  波羅僧羯諦  菩提薩婆訶」

すなわち、

「ギャーテイ、ギャーテイ、ハラギャーテイ、ハラソウギャーテイ、ボージ、ソワカ」

の部分。この部分は「空の偈」とも呼ばれています。この「空の偈」は大神呪であり大明呪です。『般若心経』の中においてもこの偈文の直前に、

「是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。
能除一切苦。真実不虚。故説般若波羅蜜多呪。即説呪日」

すなわち、

「この大いなる神呪、この大いなる明呪、この上なき呪、この比類なき呪はよく一切の苦を除き、真実にして虚しからず。即ち呪に説いていわく」

とありますね。

この「ギャーテイ…」の部分は「呪」ですから、その意味を問うことは禁忌とされています。問うてはならないという事です。

では、その意味ではなくて「何を説いているのか」という「呪のこころ」はと言うと…。

それについては現存する日本最古の仏教宗派である法相宗ほっそうしゅう薬師寺のもと管主であった高田好胤たかだこういんさんが、

「偏らない心、こだわらない心、とらわれない心、広く、広く、もっと広く、これが般若心経の心」

と説かれています。

なお、この『般若心経』は、古い系統の奈良仏教(南都六宗)系では「般若波羅蜜多心経」と言い、その他の平安時代以降の新しい宗派では「(仏説)摩訶般若波羅蜜多心経」と言います。

また本文中においても古い奈良仏教(南都六宗)系では、

観自在菩薩  行深般若波羅蜜多時  照見五蘊「等」皆空  度一切苦厄  舍利子  色不異空  空不異色  色即是空  空即是色  受想行識「等」亦復如是…

と2個所に「とう」の字が入りますが、他の宗派では入りません。

閑話休題。

私は何か嫌なことがあった時などには『般若心経』のこの呪の部分(「ギャーテイ…」)を、また心理的に何か怖い思いをしたり不吉な予感がしたり、目に見えない壁を打ち壊したりしたい時には「光明真言」を心のなかで念じたりします。

その効果はあると思います(個人の感想です)。^_^


©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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