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たやすい自分が好きで嫌い

憧れは憧れ。自分は自分。

前の会社で退職を告げたとき、「環境に左右されてしまうタイプなんです。環境を変えないとダメなんです」という僕に対して部長は、「それは甘えだ。そんな考えじゃどこにいっても通用しない」といった。部長が間違ったことをいってるとは思わなかったけど、僕の心には届かなかった。僕は「そういう人間」ではないと思ったから。

僕は「たやすい」人間だと思う。よくいえば適応力があるし、わるくいえば流されやすい。そしてそんな自分のことが、好きで、嫌いだ。

昔から、芯がある人に憧れる。揺るがないものをもっていて、周りに左右されず、我が道をいく人。そんな人になりたかったし、いまでもなりたいと思っている。

でも、僕はそうじゃない。

自分のなかに信じるものがあっても、周囲のことばによって平気で揺らいでしまう。迷ってしまう。環境に流されやすい。違うと思っても、貫きとおすことができないことは多い。

憧れとは正反対だ。ほんとうにだらしないと思う。でも一方で、カメレオンみたいに馴染める自分が好きでもある。環境を変えることでいろんなことを吸収してきた。自分の信念にしたがっていたら知れなかった色も知ってきた。そうやって形成された自分は、どんな色にも染まることができるようになった。

いまでも、自分は信念がないと悩む。軸のある人にはずっと憧れ続けるのだろう。でもそれは、いまの自分をやめたいのとイコールではない。憧れは憧れで、自分は自分なのだ。

欲をいえば、どっちも手に入れたい。ときには緑のなかで赤になったりもするような、きまぐれで迷惑なカメレオンになりたい。

染まりに染まったら、最後は何色かになるんだろうか。

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