平野啓一郎『私とは何か』読了

欧米から輸入した個人という概念をさらに分解して、分人という概念を提唱。個人は整数で分人は分数のイメージ。相手によって複数の分人が無意識に現れている。分人の集合体が一人ひとりの個性。その構成比率で個性も変わる。分人は相手からの影響を受ける。同時に自分も相手に影響を与えている。
誰しも好きな自分になれる分人があるはず。付き合う人や環境を変えることで少しずつ好きな分人の構成比率も高めることができる。一人ひとりの中での分人同士も影響を与えあっている。そうすることで個人の中で複数のコミュニティや考え方を融和できるのではないか。筆者はそこに分断を超えるヒントを見出そうとしている。

確かに、分人が存在する自分を認めることで気持ちがラクになる部分はある。自分の中での一貫性に囚われているところってあるよね。自意識過剰なところもそう。
でも相手や環境やコミュニティによって変わっていいんだ。変わって当然なんだ。そうやって自分自身を素直に認められることが大事かなって気がする。自分を認めて自分に優しくなれると周りのことを認められるし優しく寛容になれる気がする。不寛容が目につくこんな時代だからこそ大切にしたい考え方かなと思う。

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