見出し画像

【睡眠】アスリートの戦略的睡眠方法

「寝たいのに中々寝られない」

「たくさん寝たはずなのに、疲労が抜けない、体がだる重い」

そんな悩みを抱えているアスリートは多くいると思います。

また、

「睡眠を改善してパフォーマンスを向上させたい」

「トレーニングだけでなく、睡眠にも気を使ってさらに高みを目指したい」

そう考える熱心なアスリートも多いはず。

今回は

睡眠の質を改善し、パフォーマンスを向上させる睡眠方法について、アスリート目線でまとめてみました。

睡眠を疎かにすることのデメリット

まずは睡眠を疎かにすることの"ヤバさ"を知っておきましょう。

・筋力のピークが低下する
・筋力を維持する力が低下する
・心血管、代謝、呼吸機能の低下
・筋肉に乳酸が溜まりやすくなる
・血中酸素飽和度が下がる
・血中の二酸化炭素の増加
・汗が出にくくなる→身体冷却機能の低下

これらのデメリットは睡眠時間が8時間より短くなる、特に6時間を切ると発生するデメリットです。
アスリートがベストなパフォーマンスを発揮する上で欠かせない機能のほとんどが低下します。

また、慢性的な睡眠不足が続いた場合、怪我をする確率が飛躍的に上がる事も分かっており、平均睡眠時間9時間のアスリートと6時間のアスリートでは怪我をする確率が56%も変わる事が分かっています。

睡眠不足や睡眠の質の低下は日常生活においても、悪影響を及ぼします。

・集中力の低下
・やる気の低下
・判断力の低下
・免疫力の低下
・太りやすくなる

などのデメリットが生じます。

睡眠の質を向上させる4つの方法

続いて、今回の本題である睡眠の質を向上させる方法を4つご紹介します。

1.皮膚温度を上げて、深部体温を下げる
2.生活リズムを整える
3.体のリズムを整える
4.睡眠環境を整える

1つ目「皮膚温度を上げて、深部体温を下げる」

私達は寝ている間、ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を約90分毎に繰り返しており、最初の90分を深く眠ることが睡眠の質を向上させる要となっています。

その90分を深く眠るためには深部体温を下げることが重要であり、その方法として、就寝90分前の入浴が推奨されています。

簡便にまとめると

就寝する90分前に入浴する

皮膚温度が上がり、深部体温も上がる

お風呂からあがる

皮膚から熱放散が始まる

同時に深部体温が下がり始める

90分経過、深部体温が入浴前の温度に戻る

体温が下がるタイミングで眠気がくる

就寝 zzZZ

就寝後、入浴前の温度より深部体温が下がる

睡眠の質向上に繋がる

これらのメカニズムは生体に備え付けられている恒常性(ホメオスタシス)と深部体温の特性を利用しています。

深部体温は少し上がると大きく下がる特徴があり、入浴により1度上がった深部体温は就寝後に大きく下がり続けます。

これらが睡眠の質を向上させる仕組みとなっています。

ちなみに入浴する際のお風呂の温度は40℃程が適温で、15分ほど浸かっていることが大切。

これよりも温度が高く、入浴時間が長ければ90分経っても深部体温は元に戻りませんし、温度が低くて時間が短ければ90分もかかりません。

就寝する90分前の入浴が難しい場合はシャワーでも代用できます。

例えば、寝る30分前にぬるいシャワーで皮膚温度を少しだけ上昇させて、短時間で深部体温を下げるといった具合。

大切なことは「皮膚温度を上げて、深部体温を下げる」です。


2つ目「体のリズムを整える」

1日は24時間ですが、人間に備え付けてられた体内時計はそれよりも少し長く、日々15分ほど遅れると言われています。

たった15分ですが、これを何日も放って数時間の遅れになった場合「眠気が来なくてなかなか寝なれない」という状態に陥ってしまいます。

そうならないためにも「朝の太陽の光」を浴びましょう。

太陽の光は体内時計の遅れを巻き戻してくれるだけでなく、セロトニンというホルモンを分泌させてくれます。

このセロトニンが15時間後に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンに変わり、自然な眠気と良質な睡眠をもたらしてくれます。

(朝7時に起きて日光浴をすれば自然と22時には眠たくなる)

・セロトニン→日光を浴びることで生成。精神の安定、集中力の向上。リズム運動をすると分泌が促される。
・メラトニン→セロトニンを原料に生成。自然な眠気と良質な睡眠をもたらす。

朝起きたらまずはカーテンを思いっきり開けて、日光浴をする。
これは質の良い眠りの予約をしているとも言えるでしょう。

※一般的に起床後1時間以内に外に出て、20~30分程陽の光を浴びることで体内時計がリセットされると言われています。

雨や雪が降っていても大丈夫です。太陽は隠れていても十分な光量があるため、体内時計をリセットしてくれます。

また、晴れた日には散歩をする事をおすすめします。
太陽の光を浴びることで免疫力を高めるビタミンDを生成することが出来ますし、散歩はリズム運動になるため、セロトニンの分泌を促すことができます。
自然とストレスが消えて、その日の夜はグッスリ眠れますよ。

3つ目「生活リズムを整える」

睡眠の質を向上させるうえで入眠時間と起床時間を固定することはとても重要です。

そして、ベストな入眠&起床時間は自分の遺伝子タイプによって決まるため、まずは自分が朝型人間か夜型人間かを把握いたしましょう。

※朝型、夜型は生まれつき遺伝子によって決まっており、逆らえない。変えられない。

体内リズムは遺伝によってほぼ決まっているため、自分の遺伝タイプと生活スケジュールを照らし合わせながら入眠&起床時間を固定していきましょう。

そして、一度決めた入眠&起床時間は変えてはいけません。

休日などで次の日の起床時間に締め切りがない日は遅くまでスマホをいじってしまい、翌日はお昼ごろまで寝てしまいがち。そして、日曜日の夜になかなか寝られず、月曜の朝からゲッソリ。。

このように、1度生活リズムが崩れると睡眠負債を負う原因となり、睡眠の質や運動パフォーマンスに深刻な悪影響をもたらします。

※睡眠はお金と違い、いくら寝ても失った負債は返金できず、ペナルティを負うしかない。

だからこそ自分を律して、決まった時間に寝なければならないのです。

最後、4つ目は「睡眠環境を整える」です。

・部屋の温度は18.3℃が推奨されている。
・換気して二酸化炭素の量を減らす。
・部屋を暗くする。
・部屋を清潔に保つ。

などが上げられます。

中々寝付けない人の部屋は意外と暑かったりします。
最適な温度は人それぞれなので、必ず18.3℃にする必要はありませんが、暑いよりは寒い部屋の方が眠りに付きやすくなります。
ひとつの目安として18.3℃を覚えておいてください。

(就寝する90分前に入浴した場合も、部屋が暑いと、思うように熱放散できないため、心地よい範囲内で、部屋は冷たくしておくと良いでしょう。)

また、部屋が散らかっていたりすると気が散って眠りの妨げになる可能性もあります。
部屋は清潔に保っておいて、リラックス効果のあるラベンダーの香りを部屋に充満させておくのも快眠に繋がると言われています。

最近ではアップルウォッチやスマートリングなどで睡眠を管理できるようになり、数値によって睡眠の質を改善したり、睡眠に対する意識を上げることができるようになりました。

それら最新ガジェットを使用するのも良いでしょう。

夜の明かり、スマホとの付き合い方

先述した睡眠ホルモン「メラトニン」は自然な眠気を催し、良質な睡眠をもたらしてくれる重要なホルモンです。
つまり、この「メラトニンを夜にどれだけ分泌できるか」が快眠の鍵を握っています。

メラトニンは人工的な明かりによって分泌が抑制される事が分かっており、ロウソクの明かり(10ルクス)でも抑制され、リビングの明かり(200ルクス)になるとメラトニンの生成は50%も抑制されることが分かっています。

また、夜に人工の光を浴びると脳内の時計を2~3時間も巻き戻してしまうと言われています。

そのため、とにかく夜は明かりから避けて、部屋を暗くすることが重要になります。

そんな中、特に厄介なのがスマホの存在です。

夜寝る前に限らず、何かと見てしまうスマホ。
スマホやPC、タブレットから発せられる青色LEDは白熱灯に比べて、メラトニンの生成への悪影響が2倍になることが分かっています。

寝る前にスマホを2時間使うとメラトニンの分泌が23%抑えられ、圧倒的に寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質はガタ落ちします。

スマホの恐ろしさはそれだけでなく、一晩でも寝る前にスマホを見てしまったら数日間はメラトニンの分泌が遅れたままになること。
(まさにデジタルの二日酔い状態)

それと、スマホで見れる動画やゲームはとにかく中毒性が高く、あっという間に睡眠時間を奪われます。

成長期の中学時代にスマホさえなければもっと身長伸びていたのに、、という後悔を今更してる。

ここまでデメリットしかない「寝る前のスマホ」か、メリットしかない「良質な睡眠」のどちらかを選択するかで競技成績は大きく変わることでしょう。

まとめ

▫️睡眠は疎かにすると運動パフォーマンスが低下する。

▫️睡眠の質を向上させる4つの方法は
    1.入眠90分前の入浴(40℃で15分)
    2.毎朝日光浴する(起床後1時間以内に外に出て20~30分程度)
   3.遺伝子で決まっている体内リズムに合わせて入眠&起床時間を固定する。休日も変えない。
   4.睡眠環境を整える

▫️夜は人工の光を避け、部屋を暗くする。そして、寝る前のスマホは絶対に避ける。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?