千鳥のノブとサンドウィッチマン伊達
テレビが2台、部屋の中にあった。10人くらい人がいて、各々好きな体勢でテレビに見入っている。2台ともコントをしていて、どんな番組か忘れてしまったが、ひとつは最新のコント、もうひとつは古いコントをやっていた。古い方はずっと昔の番組らしく、白黒で画質が酷かった。当然私は最新のコント番組に熱中しており、おもしろいので手を叩いて笑った。
私のすぐ後ろでも笑い声がし、振り返ると千鳥のノブがいた。仰向けに寝そべり首だけ90度に曲げた妙な体勢をとっている。ノブは古いコント番組を見ておかしそうに笑っていた。
「いやさすがノブさん、番組のチョイスがしぶいっすね」
「うるせえ」
私がからかうように言うと、ノブは語尾を上げる特徴的な声でつっこんだ。なんだかとても嬉しくなる。
古いコントを見てにやけるノブの横顔は変だった。特に変なのは髪型で、上に尖ったいつもの形状ではなく、後ろ髪が妙に長くて茶髪に金のインナーカラーが入っている。無視することが出来なかった。
「髪型のクセすごいっすね」
「いつも通りじゃ」
絶対そんなことないだろ。そう思ったが口には出さなかった。
画質のいいコントの続きを見ようと思い振り返ると、今度はサンドウィッチマン伊達がいて、両方の番組をどうしても見たいのか頭を左右に振り忙しそうにしていた。その様子がツボにはまり苦しいくらい笑った。周りの人たちもおかしそうに笑う。笑いが収まると、
「これでも俺、卒論の審査5回くらい落ちてんだよ」
と伊達が自慢げに言った。なぜ今卒論の話なのか。しかし伊達の周りにいる人たちは不思議がる様子もなく、むしろ感心して「へえ」「まじっすか」などと言ったりしている。
「そうだよ。そんで俺、タゴ賞もらえたんだから。何が起こるかわからないよほんと」
タゴ賞ってなんだ。目が覚めた。
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