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[第弍話]弓道の基本動作を学ぶ。

体配たいはい:体配というのは弓を引くときの射型以外の動作の総称。

弓道を始めると、1番初めに教わるのは、立ち姿勢、正坐せいざのやり方、立ち方です。
それぞれの動作には、決められた作法があり、目線の位置も決められているので、同時に学びます。

次に、立礼りつれい坐礼ざれいのやり方。

弓を引く以前に、弓道を始めた人は1日目から、この動作をする事が多いので、イの1番に身体にすり込ませます。

私も例外なく、立ち姿勢、正坐せいざ、立ち方から教えてもらいました。

弓道をやっていると、この立ち姿勢、正坐のやり方、たち方を見ただけで、ある程度熟練度や、その人の弓道に向かう姿勢が解ってしまいます。

日常生活で、あまりやる様な手順では無いので、初めはぎこちないですが、どんな初心者でも、道場内では、必ず行う動作なので、すぐに慣れると思います。

それが終わると、射法八節しゃほうはっせつを学びます。
ちなみに、私が受けた時の、弍段の昇段審査の筆記試験では、この射法八節しゃほうはっせつについての問いが多かったです。

射法八節しゃほうはっせつ:”弓道で、矢を射る際の八つの基本動作。足踏みあしぶみ(立つ位置を決める)・胴造りどうづくり(姿勢を整える)・弓構 えゆがまえ(弦に指をかける)・打起 しうちおこし(弓を持ち上げる)・引分 けひきわけ(弓を引く)・会 かい(狙いを定める)・離れはなれ(矢を射る)・残心 ざんしん (残身ざんしんとも。矢を射た後の姿勢)の八つ。”

出典:goo辞書より

厳密に言えば、弓道というスポーツは、射場に入場する体配から、競技は始まっているので”射法八節を極めた人が上手い”…という訳ではありませんが、
射技においては、初心者から熟練者まで、たったの8つの動作を繰返し、繰返し練習する事になります。

※小さな大会、学生レベルの公式戦は、単純に的中数を競いますが。
国体選考(高校生〜)、一般競技者向けの天皇杯、皇后杯などのレベルの高い大会になると、的中だけではなく、美しい体配をする事が残る為の必須条件となります。
例えば、高校生の全国大会の技能優秀者賞は、全国ベスト8程度の高校から、1校だけ射技と体配共に優れた学校に与えられるものなので、全国一位になるより難しい事だと、高校時代の監督は仰っていました。

…なんども…何度も何度も、八節はっせつくんに問答をしながら……練習します。

初めに、射法八節を、言葉に出しながら、まずは何も持た無い状態でフォームを覚え込ませた後。

ゴム弓ごむきゅうという、棒状の木もしくはプラスチックにゴムをつけたものを使用し、手の内(弓の握り方)を作って、同じように射法八節の練習。

それが安定してきたら、今度は、本物の弓を持って”素引き”すびきと呼ばれる、矢をつがえずに弓を引く練習をします。
私の場合は、中学1年生の頃に弓力きゅうりき8kgの並寸から始め、高校卒業時は13.5Kgの伸寸を引いていました。

途中から並寸なみすんから伸寸のびすんに変えた理由は、高3の春に監督が変わった際に、

監督「0w0(仮)は、弓合ってないよね?のび(寸)余ってる?あるならそっち引いた方がいいよ。」

と、アドバイスをいただいた事から、高校最後の公式戦を前に、弓を変えました。

個人差はありますが、10代だと女子で12kg〜13kg前後、男子で14kg〜15kgの弓力の弓を引く事が多いようです。

弓力きゅうりき:弓を引く力の数値です。体感的には、弓の長さ(伸寸か並寸か)によっても、感じる強さは違うように感じました。
女性の平均的な人は並寸の弓を使いますが、手が長い方、身長が高い方、男性は伸寸を使う事が多いです。

後は、弓の種類によっても、体感的な強さは違います。初心者は”実技”という弓が扱いやすいと思います。

素引きが安定してきたら、いよいよ矢をつがえて、離れはなれ残心ざんしんまで、実際に弓を使って練習します。

的前に立つ前に”巻藁まきわら”と呼ばれる、藁を円形に束ねた的に向けて、至近距離で矢を放つ練習をします。
米俵のような形をしている藁の束です。

そこで”危なげ”がよく取れた後で、まずは的から14m付近から、巻藁で弓を引く工程と同じことをし、暴発(矢がエキセントリックな方向に飛んでいくこと)しないことを確認したら、いよいよ的前まとまえ(正規の28メートル先から弓を引くこと)に立てます。

私の場合ですが、ゆう(的に向かって一礼する動作)〜射位しゃいまで進み、足踏みあしぶみをするまでの体配たいはいと目線の位置は、的前デビューと同時に、現在の地元弓連の会長に教えて頂きました。

弓道を始めてから、的前に立つには、最低でも3ヶ月〜半年はかかります。

弓道教室の時は、とにかく詰め込みだったので、きっちり3ヶ月で全員が的前に立たせて貰えました。

進度は師範の方針や個人の熟達具合にもよりますが、大体3ヶ月〜半年で的前に立てることが多いようです。
よっぽど人手不足で選手が足りない高校は2ヶ月目で的前に進むこともあるようですが…それは基本的には危険な事なので、本当にイレギュラーパターンだと思います。

所作を習う順番も、大体どこに行ってもこんな感じです。




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