一流による一般向けコンサート

雨に降られると体調が悪い。頭の奥に靄がかかるような、いやな感じだ。けれども、これが生きているということなのだろう。雨に任せて、BBCの戴冠式中継のアーカイブからオケや聖歌隊の演奏シーンだけを見た。中継の音声は入ってるけど、まあそこは気にしない。

バードが入っていたのは、やっぱり今年が没後400年ということなのだろうか。礼拝前のミニ・コンサートにモンテヴェルディ合唱団とイングリッシュ・バロック・ソロイスツ(指揮はもちろんガーディナー)か、などと変に感心してしまった。

2019年に即位礼正殿の儀があったとき、わたしは官邸のYouTube中継をBGMに雑事をこなしていた。ちょっと興味があったからだ。もっともBGMとしてはよくなかった。東大寺の修二会の方がずっと聞かせる。即位礼の中継で聞こえた音のほとんどは、空気の揺れる音。どこかで唐突に聞こえたカラスの声だけが妙に印象に残っている。

昨年のエリザベス二世の葬儀といい、今年の戴冠式といい、国家による文化の利用とはこれかと思わされる。ウェストミンスターの中で行われた式典は、一流の楽団・合唱団による一般向けコンサートとしても十分聴くに堪えた。それでいて一種の格調も両立させる技術がある。東京オリンピックの式典やら、あれの国葬やら、わーくにの近代国家としての底の浅さを思った。

※近代国家として底が深けりゃいいというものでもない。念のために追記しておく。

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