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生姜と大葉の豚バラ巻き

生姜が余っていた。元々使い道にあてのない食材だったので当然だが。
良い消費先があればいいのにと思いながら料理本をめくっていたら、豚バラ肉を使った「巻いて焼く」というレシピを見つけた。写真の完成例も豪華な佇まい。私は嬉々として豚バラを求めスーパーへ向かうことにした。

豚バラはごちそうだ。もっぱら豚コマばかり選ぶので、たまに食べるとギャップに驚く。とはいえお好み焼きに使う薄切り肉という認識が主でありまだレパートリーに幅は無く、今回の試みは新機軸なので自ずと期待が高まっていく。折しも切り落としが安く、タイミングの良さが余分に嬉しくなる。

さて、今回はなかなか工程が多い。
1. 豚バラ切り落としを2枚ほど重ねて並べ、合わせて太い帯状にする
2. 端に大葉を一枚乗せる
3. 生姜を短冊状の薄切りにし、大葉の上に乗せる
4. 巻き寿司よろしく、大葉と生姜の乗った豚バラ肉をくるくると巻く
5. 巻いた後、表面に小麦粉を軽くまぶす
6. フライパンで適宜転がしつつ焼く
7. 味付けはポン酢で。

ちまちまと巻いていく作業はさほど複雑ではないものの、だいぶ手の込んだことをしている実感がある。「小麦粉をまぶす」! こちらもいかにも料理という感じだ。味との因果関係は特に意識せず、素直にレシピをなぞって工程を積む。焼けば一緒だと言いたいところだが、大葉など雑にフライパンに放り込んだところで食べにくくまとまってしまう訳で、こういう工程も馬鹿にはできない。

然して完成。巻いた肉が焼いている内にほどけてしまうか心配だったが、都合良くくっついてまとまってくれた。
味もなかなか、爽やかだが脂身の存在感もあるボリューミーな味わい。生姜は薬味としてではない「齧る野菜」としての側面を感じられ、「生姜を食べる」という新鮮な感覚があった。
そして豚バラとポン酢の組み合わせが強い。お好み焼きも二回に一回はポン酢で食べるがやはり盤石だ。豚バラと大葉の組み合わせも強い。大葉は一巻きに二枚使うぐらいにしてもっと主張させてあげたくなった。

今回は生の生姜を薄切りにして巻いたが、実はレシピ上では甘酢漬けでと書いてある。個人的には今回のもので満足だったが生姜の存在感がやや浮いていた感覚もあり、けっこう好き嫌いの分かれる仕上がりだったかもしれない。
甘酢漬けの他、みょうがを切って巻くのも良いらしい。味の想像があまり付かないが旨そうだ。近く試してみたい。

・・・

我が家には料理本がいくつかある。ほとんどはかなり昔、最初の一人暮らしに際し親が持たせてくれた物であったり、バイト先の先輩が誕生日プレゼントに寄越してくれたものであったり。自分で買ったものも二冊ほどあるが、実際に作った料理は一割に満たないと思う。レシピの物量に気圧されるというか、見るだけで満足してしまうというか、ただ眺めていてもなかなか作るところまでいかない。
せっかく物持ち良く保存しているので、たまには何か採用したいとは思う。

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