染めてみる
「暮らす」を構成する衣食住。
いっちゃん最初の文字なのに、何故かこれまで「買う」という行為でしか、「衣」にアクセスしてこなかったように思える。
近隣でイベント的に開催される「草木染め」、昔の徳島では大きな産業だったという「藍染め」、2022年には文化財施設の企画で「玉ねぎの皮染め」なんてのにも参加した。糸を紡いだり、布を織ったり、服をデザインしたり、というのは遠い世界のようだが、布を「染める」なら自分でもできるのでは?と距離が近く感じた。
その少し前、2021年に訪れた雲仙市小浜温泉。地方で活動するデザイナーとして興味のあった城谷耕生さんが亡くなられたと聞き、「刈水庵」が目的。僕が好きなまちのカタチの一つ、坂の途中にある。尾道、塩屋、真鶴、小豆島、鈴蘭台、坂の町はなんか居心地、というより、歩き心地がよい。
小浜町も刈水庵も美しく、触れる道や壁も、見える景色も、そよぐ風もなんか清々しく、また訪れたくなる。ただ、最も興味深かったのは「アイアカネ工房」。ここも坂の途中にある。ちょうど親子で藍の収穫と調整をされていた。小さな小部屋で、刈り取ってきた藍の調製作業のようだった。その作業場所の空間はなぜか懐かしく、子どもの頃、実家の納屋や縁側で祖母と一緒に大豆や小豆や胡麻の選別をしていた記憶を蘇らせた。
という経緯があり、「染める」実践をしたくなる。たまたま仕事で「オオキンケイギク」という特定外来生物の駆除に関わることになる。単に駆除だけしても労働っぽいし、なんか違うモチベーションにもっていけないかなと。せっかくなので黄色を地域のカラーにできるんじゃないかと。市内で染色を学ぶ学生さん、黄色をブランドカラーとするデザイナーさん、地域住民の皆さんが一緒に、まずは実験。
まだまだ「染める」ことが何たるかもわかってないが、とりあえず始まった。
ちなみに、「アイアカネ工房」でいただいた「白綿」と「茶綿」の種はその後の僕の開墾プロジェクトにも大きく根を張っていくことになる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?