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地方のWebデザイナーがフリーランスになった理由と、メリット・デメリット

こんにちは。出身地の富山県を拠点に活動している、Webデザイナーの谷崎(@lyric0de)と申します。

私はもともと美術系ではない学校出身/デザイン未経験の状態から、縁あってWebデザイナーとして富山市のWeb制作会社に就職し、約6年間勤務していました。

2017年ごろから少しずつプライベートでWeb制作の依頼を受け始め、2020年ごろには会社の仕事でもWebディレクション業務に携わるようになりました。そのころから、「この環境ではこれ以上成長が見込めない」と限界を感じ、もっとキャリアアップして全般的にWeb制作に関わりたいと強く意識するようになりました。

その時にちょうど、大きめな規模の個人のお仕事をいただいたことも重なり、一念発起して2021年4月に退職。7月に開業届を出して正式に独立し、今はいわゆるフリーランスのWebデザイナーとして活動しています。

この記事では、フリーランスとして働くことを検討している方向けに、会社員ではなくフリーランスの形態を選んだ理由と、半年働いてみて感じたフリーランスのメリット・デメリットなどをざっとまとめてみます。

フリーランスに移行した理由


前の会社の退職を考え始めた時、「絶対にフリーランスになるぞ!」と思っていたわけではなく、もう一度他のWeb制作会社に就職して経験を積むことも選択肢として検討していました。

しかし、キャリアアップを第一目的にすると、就職したい会社の条件は尊敬できるWebディレクター・Webデザイナーが在籍している、フィーリングが合い「会社に貢献したい」と思えるような社風……など、理想は高くなるばかり。
さらには、(都会であれば選択肢はもっと広がることは承知しつつ)今まで富山県で築いてきた実績や人とのつながりを活かしたいという希望、そしてコロナ禍においてわざわざ都会に住んで働く意義を見出せなかったこともあり、やはり実家もあり住みやすい富山県に定住して働き続けたい、という思いを捨てきれませんでした。

そんなこんなで、なかなか会社を辞める決心がつかなかった私でしたが、その頃にちょうど、次のステップへ背中を押してくれるような出来事が起こります。
プライベートでお仕事をご依頼いただいていた知人のグラフィックデザイナーの方に、できれば「会社ではなく私個人として」「プライベートではなく仕事として」受けてもらいたいという、大きめな規模のWeb案件をご相談いただいたのでした。

もちろん、この1件だけでフリーランスで食べていけるという確信が得られたわけではないですが、当初の「全般的にWeb制作に関わりたい」という希望を達成するのに、これほど良い機会はないと思いました。
また、コロナ禍の影響によりフルリモート可能な業務委託案件を募っている会社も増えつつあったので、もし個人としての依頼は1件だけしかなくても、フリーランス向けのエージェントを利用すれば、会社に所属しなくても仕事に困ることはないのではという希望もありました。

……というわけで、フリーランスWebデザイナーになった理由をまとめると、
「富山県内で就職したいと思う会社が見つからなかったから」
「全般的なWeb制作のスキルが身についてきたところで、タイミングよく個人としての仕事の依頼があったので、何となくフリーランスでも働いていけると思ったから」

という感じでしょうか。こうして書くと、けっこうふわっとしてますね 笑。

ただ、一応下記のフリーランスの(会社員と比べた)デメリットもあらかじめ十分想定した上で、リスクケアも考慮しつつ決断したので、全部が全部行き当たりばったりだったわけではない、ということは言っておきます……!

フリーランスのデメリット・懸念点


1. 社会保障・社会的信用が薄い

この手の話で散々言われていることかと思いますが、実際に国民年金や国民健康保険料などについて試算してみると本当に絶望的なほどに手薄く、会社員との差は明らかです……。
逆に言うと、会社員の場合は会社がその差を負担してくれているということなので、退職してあらためて会社のありがたみを感じるのはフリーランスあるあるだと思います。
そしてこの一点だけでも、会社員の働き方が合っている人、問題なく会社員で働ける人は、多少の人間関係や企業文化などの面倒さは我慢してでも絶対に会社員の立場は捨てない方が良い、と断言すらできます 笑。

また、今はまだ必要ないですが、今後住宅ローンなどを組みたいと思った時に審査に通りにくいなど、やはり会社員と比べた社会的信用の低さは否めないと思います。

これらの社会保障の薄さ、社会的信用の低さ、払わなくてはいけない税金、経費、確定申告などにかかるコストなども考慮して、私はフリーランスでの売上のうち手元にくる実質的な収入は最悪6割と想定し、そこから逆算して目標売上を決めました。

2. 収入が不安定

これはWebデザイナーの請負制作の形態による影響が大きく、当然のことなのですが……。たとえ一時的に仕事がなくても毎月一定の給料が支払われる会社員と比べ、基本的にフリーランスは成果物を納品するまで一切報酬を得られません。
仕事がなければもちろんその期間の収入はありませんし、仕事があってもクライアントの都合などで制作期間が延びてしまい、納品・お支払いが予定より遅れることも十分にありえます。

実際、私は今でも1ヶ月後はどうなっているか予想がつかない状態がほとんどで、仕事のご相談は何件もいただいていても、確定している案件が1件もないとすごく不安になります……。

この問題に対しては、広報に注力し常に確度の高い仕事の相談が入ってくる状態にする、できる限り自分の希望通りにスケジュールをコントロールできるようクライアントとの信頼関係を築く、をとにかく徹底するしかないかなと思っています。

3. 仕事の責任が重い

会社員でいう管理職などにも共通することですが、フリーランスになってからは特にWeb制作の広い範囲をすべて一人で対応しているため、当然、見積り/窓口業務/スケジュール管理/ディレクション/デザイン/コーディング/サーバー等環境構築……などなど、それぞれの行程で発生した問題の責任はすべて自分に降りかかってきます。

私自身はスペシャリスト型というよりはジェネラリスト型だと自負しているので、それほど苦ではないのですが、対面コミュニケーションや高度なプログラミングの技術など、その道の専門家と比べるとどうしても苦手な分野もあるので、そこを伸ばせるように常に努力していく必要があると痛感しています。

フリーランスのメリット・独立してよかったこと

1. 時間的・精神的な余裕ができる

上記のデメリット・懸念点とトレードオフの面もありますが、フリーランスになり完全在宅ワークに切り替えたことで時間的・精神的な余裕ができ、生活の質が会社員時代と比べて格段に向上したと個人的に感じています。

私が会社員だった時は、地方の会社だったからか「時間外労働をして当たり前」「作業効率を高めても、仕事が増えるばかりで評価・報酬になかなか反映されない」といった風習が未だ色濃くありました。
それに対し、「ワークライフバランスはある程度自分の裁量で決められる」「作業効率を高めれば高めるほど、ダイレクトに成果・報酬に反映される」といったフリーランスの働き方は、実質的な収入が減ることを考慮してもなお大きなメリットがあると感じました。

会社員時代は、自分ではどうにもできないようなことが原因で抱えていたストレスも多くありましたが、フリーランスになり大部分を自分でコントロールできるようになったことで、責任が増えた反面、ストレスが減ったことも大きいと思います。

2. 仕事のモチベーションが高まる

フリーランスになってからは、大変ありがたいことに会社員時代に一緒にお仕事をさせていただいた方から「ぜひLYRICODEさんに」とご依頼いただいたお仕事がほとんどを占めています。
私のスキルや価値観をある程度理解いただいた上でのご依頼なので、必然的に私もやっていて楽しい(やりがいのある)仕事が大部分になり、モチベーション高く働けています。

会社員と違って必ず自分が窓口に立つことになるため、SNSなどでの自己ブランディングが営業に直結し、自ずと自分の価値観と近い仕事を受けられる確率が高まることは、フリーランスの大きなメリットだと思います。

3. 取り組み次第で無限に成長できる

何となく、「キャリアアップしたい」という漠然とした希望を抱いて選んだフリーランスという形態ですが、確かに、自分を成長させるという点において可能性は無限にあるな、と働いてみて感じました。

特に、ワンストップでWeb制作を完遂するということにおいて、クオリティを高めるために身につけるべき知識は無限と言っていいほど多くあります。
また、広告業の性質上、多種多様なクライアントの業種に触れ、(窓口役も行うフリーランスは特に)都度その業界について深く理解することも必要で、一生が学びといっても過言ではありません。

反面、会社員と違って会社が教育メニューを用意してくれるわけではないので、常に自分自身で的確に目標を設定して着実にスキルを身につけていく「独学力」「自習力」が必要とも思います。

さいごに

フリーランスという働き方は、決してその名前のキラキラした響きの印象だけではなく、デメリットや苦労もたくさんあります。

しかし、自分の取り組み方次第で成果が大きく左右されるという、ある意味自分を追い込むようなフリーランスの働き方は、会社員時代から独学があまり苦でなかった私の性格には合っているようです。

今後また会社に所属する可能性もありますし、会社によっては無限に成長できる環境もあるとは思いますが、フリーランスで幅広いスキルを磨く経験は今後のキャリア形成にも活きてくるのではないかと思います。

どうか少しでも、この記事が読んでいる皆さまがキャリアについて考えるきっかけになれば幸いです。

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c.tanizaki|LYRICODE   @lyric0de

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