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作詞するとき、まだ音符の数を数えているの?

 作詞を始めた頃に読んだ教本には、言葉をのせる前に音符の数を数えましょうと書いてあったし、実際数えてる人もたくさんいた。音符を数えること自体にとやかくいう気はないし、それが悪いことではない。私は最初から数えはしないけど、厳密に言えば聞き取りづらい部分を確かめるときに数えてると思う。問題はその数え方だ。

 その昔は曲のテンポもゆっくりだったし、音符の数が全体的に少なかったから、それで良かったんだろう。今はBPMもあがってるし、1曲の曲の長さは短くなっているのに、音符の数は増えてると思う。

 例えばバラードは音符の数が少ない。歌詞サイトを見れば一目瞭然だけど、音符の数が少ないから言葉や文章も少ない。ダンス曲は細かい音符がたくさん並ぶから言葉も多い。ダンス曲が増えたこと、そしてアイドルの台頭が、音符数が多い歌を増やしたように思う。まだ歌があまりうまくない、オーディションで受かったばかりのアイドルグループが歌う場合、伸ばす音が多くて音符数が少ない曲より、音符が細かくてしゃべるように歌える曲の方が歌いやすい。それにたくさん言葉を詰める事ができれば、メッセージも伝えやすい。細かく噛み砕いて伝えないと伝わらない現代の傾向にピッタリだ。私はこれは秋元さんが、乃木坂、欅坂の頃に始めた戦略だと思っている。

 いずれにせよ、音符数が増えたのに、昔のように音符を数えるのは難しくなった。それなのに今も音符を数えている人の問題は数え方なのだと私は思う。昔のように、8とか10とか、それくらいの単位で音符を数えていないだろうか?たしかに音符の数と言葉の数が合えば、歌詞は成立する。でも非常にハマりの悪い歌詞になる。

 作詞家は言葉を大切にしたいので、目で見て伝わるように書くと、最終的にメロディにあっていない状況に陥ることがある。耳で聞いて伝わるようにするのが難しい。だからぜひ、その音符の数え方を8-10ではなく、3-4に変えてみてほしい。それくらい細かい単位で言葉を組み立てて行くと、もっとメロディにハマるはず。もちろん文章にするには8-10文字くらいで考えなければいけないけれど、名詞+助詞くらいの単位で調整しながら1文を組み立てるというわけだ。

 いい事言ってるのに、素敵な言葉なのに、もったいないなあ…と思う時がある。言葉のハマり、大切にしていきたい。

#作詞 #作詞術 #歌詞

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