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【作詞術】結果、空耳が無敵ってはなし

 日々試行錯誤。反省に反省を重ねているけれど、たまには良かったことを思い出してみようや。ということで、今日は私の数少ない(そのうち多くなる予定。)成功体験をもとに、調子よいときの作詞ってここが違うんだよね!っていうことを書いてみます。テクニカルな部分も大事ではありますが、調子がいい時ってそんなんすっとばしていい歌詞書けるときがあるんですよ。それってどんな時なんでしょう?

メロディーがそう言ってる

 音楽雑誌のインタビューで、アーティストさんが「あの歌詞は、メロディーがそう言っているように聞こえたんです。」って言ってるの見たことないですか?アーティストさんだけでなく、作詞家さんでもいいんですけど。これね、冷静に考えてください。シンセでもギターでも、楽器で奏でられたメロディーラインが言葉をしゃべるわけないんです。ということで、そんなのありえません。完全に空耳です。

 で、現実的には空耳なんですが、実際に「メロディーがそう言ってる」ことはあるんですよ。例えば タン タン♪ というメロディーが、「グッバイ!」にしか聞こえないとか。タッター タッター タッタータが「うっせぇ うっせぇ うっせぇわ」って言ってるとか。メロディーを聞いた時、一番キメとなる部分に「メロディーがそう言ってる!」という、絶妙なワードが聞こえてくれば、もう作詞の7割は終了です。人によって違うでしょうけど、私には最初の1ワードをひねる出すまでが一番の苦行。苦行の部分が、瞬間に聞こえたならラッキー。実際のところ、今まで私が携わり世に出た作品で、一番キメの部分が空耳ワードになったことはないと思います。でもキメの部分で出てこなくても、サビの重要なところで空耳ワードが聞こえたことはあります。作詞家にとって、ラッキーで、素晴らしい瞬間ですよね。

 歌い手さんの歌声が聞こえる空耳

 そして私の場合、空耳ワードより多いのが、こちらの空耳体験です。作詞作業も終盤に差し掛かると、音源を聞きながら完成した歌詞を頭の中で再生します。ここで重要事項があって、自分では歌いません。音ノリを確認したくて歌ってみるときはもちろんありますが、その作業が終わった後は、自分では歌わずに音源を脳内再生するんです。目から歌詞情報、耳から音情報。場合によってその音情報には、仮歌といってとりあえずの歌詞で、誰かうまい方が歌っている声が入っています。メロディーラインだけのときもあります。でもどんなときでも、コンペに勝つような歌詞がかけたときは、どこからともなくターゲットの歌い手さんの歌声が聞こえてきます。つまりその歌詞が採用されて、レコーディングされて、実際の音源になったときの歌声が聞こえてくるんです。何か月か先の未来へタイムリープしているともいえるのか?

 こちらの空耳はすごく大事なことと思っていて、ターゲットの歌い手さんらしい歌詞ができたからこそ、その歌声が空耳で聞こえてくるんです。こうなると、私の場合は結構な確率で採用されてます。一番すごいなと自分でも思ったのは、ただのシンセメロディーで、アレンジもなにもされていない音源でも歌声が聞こえたときです。しかも人数の多いグループだったので一人一人の歌声を把握していたわけでもないのにです。

 そこまで確信が持てる歌詞、毎回書かなきゃだし、毎回書けるようにしなきゃとは思っています。でもなかなか理想は遠い。

 ということで…結果、私には空耳は無敵です。これが聞こえたときは、良い作詞ができているとき。良い音楽ができているとき。その瞬間を少しでも増やしていかねばならんのだよ。

#作詞 #作詞家 #作詞術 #音楽 #歌詞




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