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資料公開:フィクションの舞台とその「遠さ」—「国外の土地を描くSF:台湾とチベット」ディスカッション導入(日本SF大会)

第61回日本SF大会 Sci-con2023 にて、ディスカッサントとして企画「国外の土地を描くSF:台湾とチベット」に登壇しました。投影資料を再度見たいというリクエストをいただいたので、自身のスライドを公開します。

旅と批評の雑誌『LOCUST』でのわたしの活動をきっかけとして企画にお誘いいただいたという経緯もあり、本誌の「フィクション座談会」での議論の一部を引用しながら構成しています。

榛見あきるさんによるチベットの歴史/文学についての発表、溝渕久美子さんによる台湾の歴史/文学についての発表を受けて、国外の土地(あるいは遠い場所)を描くことについて、登壇者の皆さんとディスカッションをはじめるための前提や仮説を共有するための資料です。

(自身のプロフィールはこちら

▼投影資料

※ おふたりのあとに引き続いて提示した資料なので、その流れがないと唐突な感じがするかもしれません。
※ 資料の内容は、よく知られた言説を踏まえてはいますが、大部分はディスカッションを始めるための仮説であり、なんらかの定説ではありません(実際、議論のなかでいくつかの新しい観点が追加されることになりました)。

▼関連資料(自身の発表関連のみ)

●ロカスト本誌
LOCUST vol.4 特集: 長崎への困難な旅路
LOCUST vol.5 特集: 北に散りばめられて
LOCUST vol.6 特集: 福島というパリンプセスト

●自作小説
『水溶性のダンス』 ほか
※国外を舞台にした作品ではありません

▼『LOCUST』で既発表の論考

「物語る器官と果実――金井美恵子「桃の園」をめぐる虚構的時空間」
『LOCUST vol.06』福島特集 所収
「体温なき〈乳房喪失〉——中城ふみ子における北国の景」
『LOCUST vol.05』北海道特集 所収
「あてにならない地図——カズオ・イシグロの長崎を迷う」
『LOCUST vol.04』長崎特集 所収

▼企画詳細

第61回日本SF大会 Sci-con2023
「国外の土地を描くSF:台湾とチベット」
場所:浦和コミュニティセンター第3集会室  時間:8/6(日) 11:30-13:00
河野咲子、榛見あきる、溝渕久美子、渡邉清文

現在、SFに限らず様々なジャンルの小説がWEBメディアや翻訳出版を通じて言語や国の枠組みを超えて読まれることが増えてきた。そうした状況の中、自分が暮らす土地を見つめそれを国外の人々に伝える作品ではなく、あえて国外を舞台にした作品を描く意義も問われ始めている。SFで国外の土地を描くとはどういうことか・その意義は何かを、実際に台湾とチベットを舞台にして小説を書いた書き手2人と、旅の体験から批評を立ち上げるプロジェクトにかかわる批評家が語りあいながら検討していく。

補足

本企画での榛見さん・溝渕さんの発表も大変愉しかったのですが、内容の性質上、資料公開はないと伺っています。現地でご覧いただいた皆さん、ありがとうございました。会場で配布したおすすめ作品リストはおそらくのちに公開されると思います。

★2023/8/8更新:
以下の記事でおすすめ作品リストが公開されました。


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