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人と組織の“変容”に必要なこととは?②~成長支援を阻害するもの:相手の状況(レディネス)の見極め~

今回のテーマは、相手の成長を阻害するものとは?

前回からだいぶ時間が経ってしまった~
『成長を支援すること』を読んでみての感想ログ第2弾。

今日は、「相手の成長を阻害するものって何だろう?」がテーマ。

私は今までの仕事柄、法人顧客のチームや組織が抱える“組織課題”を聞いて、事業と組織がより良い方向に進んでいくようプロジェクトの設計・伴走を行ってきた。プロジェクトは、1日~2日の「教育研修」という形で納品されることもあれば、数カ月~数年単位の「コンサルティング」という形でご一緒することもある。

数々のプロジェクトを企画立案する中で特に印象的なものが二つあって、そこから「相手の成長を阻害するものとは?」について振り返ってみたい。

プロジェクトA:ある部門買収後の組織融合案件。

お客様は、誰もが知るような大手企業A社とB社。
A社は、今後の更なる事業発展に向けてB社のある部門を買収。
既に事業譲渡・人事制度等の統合はある程度目途がついたため、今度は組織風土を融合させていきたい、ということでご相談をいただいた。

「組織融合」というと、
・全階層への事前インタビューによる状況把握
・新たなビジョンの共創
・ビジョンの日常業務への落とし込み
・定期的なモニタリング&フォロー
などが王道の流れかなと思うものの、インタビューをしていく中でなかなかに難しい状況が発覚。。

  • そもそも、B社部門のエース社員たちは買収が決まった段階で次々に退職しており、残ったメンバーは士気が低め

  • マネジメント層も買収への納得感をいまだに持てておらず、新しい事業方針にも懐疑的

  • 事業統合されたとはいえ拠点はいまだにB社の建物の中にあり、A社の風や人を感じることが困難

などなど、今振り返れば聞けば聞くほど「ビジョンの共創」どころではない状況。

が!まだ若くとにかく案件を前に進めなければ…!と思っていた私は、先ほど挙げたような王道プロジェクトを提案・推進してしまうんですねぇ。。
大失敗!には終わらなかったものの、予算と期限の切れ目を迎えた時に「本当にA社・B社のためになったのだろうか…」と未だにモヤモヤぐるぐる後悔が残っている案件。


プロジェクトB:新設部門のチームビルディング案件。

こちらは大手企業C社の新設部門に関わる案件。
C社の各部門から少数精鋭が集められ、新しい事業部として新領域に参入していく土台をつくりたい、そのために事業部全体の一体感を強めたい、ということでご相談をいただいた。

事前に話を伺っていると、
・上意下達感が強い風土
・弱音・困りごとを安易に口にすることができず若手が相談しづらい状況
・全社的にも期待された新設部門であるため全員の意欲は高い
ということが見えてきた。

そこでこのプロジェクトでは、「マネジメント層への1on1」「チームごとのチームアップワークショップ」「全メンバー参加のワークショップ」を組み合わせ、どんな事業成果を作りたいか?そのためにどんなチーム/事業部でありたいか?を対話し振り返る半年間を設計・提案していった。

初めは現場からの期待値も高くポジティブな空気が流れながら進んでいったものの、途中からどんどん雲行きが怪しく。。

その原因を今振り返ると、恐らく下記のようなことが発生していたんだろうなと。

  • 全社的に「事業成果」が強く求められる風土であったため、目に見えないメンバーの心情や関係性を扱う本プロジェクトに、懐疑心が生まれ始めていた

  • 特に事業部長・部長陣は、更に上の立場の方々からのプレッシャーを感じており、今まで以上に「業務推進」をメンバーに課し始めていた

  • そんな中でチーム/事業部全体のワークショップを開催していたため、メンバーも日頃のコミュニケーションとのズレに違和感を隠せず困惑気味に

結局このプロジェクトは、提案していた期間は何とか走り抜けたものの、お互いにわだかまりが残るものになってしまった。。
あの時、誰に何を伝え、どう軌道修正していけばよかったのか、いまだに悶々と考え続けている。

相手の成長を阻害するもの:相手が抱えている葛藤や迷いを無視すること。

相手の成長を阻害するものの要因一つめは、これかなと。
プロジェクトAもBも、明らかに目指している方向性に同乗してもらうには準備が整っていない雰囲気が流れていた。けれど、予算も期限も限りがある、何とか前進させたい、というこちらのエゴによって無理やり同乗させ続けたために、途中で無視しきれないほどの大きさに違和感が膨らんでしまったんだと思われる。

あの時、
「皆さんの様子を伺っていると、まだまだこのプロジェクトに違和感を持っているように感じる。何が心の奥底にありますか?」
「焦りと失敗への怖さを持っているように見えるけれど、今一番あなたが恐れていること・希求していることは何ですか?」
と、留まる勇気を出して問い掛けられていたら、何かが変わっていたかもしれない。


一対一ではなく、一対多への関わりだったため対応しきれないこともあったかもしれないけれど、あの時、見えていたのに彼らの葛藤や迷い・不安を無視してしまったことは、今でも忘れられないのである。

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