おさんぽ俳句「そんなふうに生まれたのは」

趣味、さんぽ。
いい大人なので、一人で散歩です。
ほんとうは、ともだちがいないだけです。
でも、僕と歩く人はきっと恥ずかしくなりますよ。
 
福祉会館の前におっきな椿が咲いていました。
「わー、すごーい」
感動をフツーに声に出してしまいます。
だって赤地に白のまだら模様が
関西のおばちゃんのワンピースみたいなんだもん。
 
公園の地面に、いくつもの光の粒がありました。
ちいさな蝿の群れに、木漏れ日が当たっていたのです。
ここでも、「わー、すごーい」
語彙のすくないlylinです。
 
吉田秋生氏のマンガ「吉祥天女」では、
主人公の美女が、きらわれ者の毛虫を
草むらに逃がしてやる場面がありました。
「そんなふうに生まれたのは、お前のせいじゃないのにね」
と言って。
 
蝿もきらわれ者ですね。
それって人間の都合ですね。
植えつけられた先入観も、ありますね。
でも、ほんとうは蝿ってきれいですよね。
またまた～、と言われそうですね。
 
 
　　　　きららかな光を翅に蝿生まる　　　　　梨鱗
 
 
やっぱり散歩は、一人がいいかな。