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たんぼLOVE「3月」

  かけ出す子とまる子飛ぶ子春田の子    梨鱗

3月初めなら
田んぼはまだ冬の眺めです。
風に晒された土に、枯れた雑草。
去年の切株がほろほろに崩れています。
そこへ雨がやってきました。
二日ほどつづいた雨のあとの翌日か翌々日。
何気なく田んぼを眺めてみると、あっと驚きます。

あちこちに緑色の草の領域が生まれています。
すでに「下萌」という状態を数段とばしで
「草萌ゆ」という段階です。
春の息吹は、こんなにもしなやかに伸びやかでした。
冬とはちがう表情になった田んぼには、
ちゃんとそれ用の名まえがありました。
「春田」と言います。
今年の春田には、こうして会いました。

それからいく日かのち。
田にはいちめんに、なずな草の花がさいていました。
土手の上から見下ろすと、白っぽい花は
ぼうっとけぶり、ゆめごこちのような色合いです。
こんな日には、おとなも子どもも集まります。
おとなは畑しごと、こどもは遊びです。

そうそう。
野花のさいた春の田んぼにも、
俳句はすてきな名まえを用意しています。
「花田」
けして華美とは言えない花々なのに。
なんだかいいですね。
また雨が降ったら、花田の景色もかわることでしょう。
春ですからね。

  そらいろの花田の雨をモノレール


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とうとつですが、今月から1年にわたり
まいつき、ぼくのたんぼ愛をnoteに掲載していきます。
1年間をとおした田んぼの観察日記です。

では、また来月。


はるの田んぼではおなじみの、れんげの花です。
でもなずな草(ぺんぺん草)もいいですよ。



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