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スピッツ歌詞考察(第50回)トンガリ'95


【基本情報】

トンガリ'95
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
3分5秒

<リリース日>
1995年9月20日(6thオリジナルアルバム「ハチミツ」)

<収録アルバム>
ハチミツ(1995年9月20日リリース 6thオリジナルアルバム)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

草野氏曰く、この曲はスピッツのテーマソングであるとのこと。
前回の「オバケのロックバンド」が自己紹介を兼ねたファンへのメッセージソングであり、スピッツの新しいテーマソングと言えると思いますが、ではこの曲のどのあたりがスピッツのテーマソングなのか、考察していきましょう。

プラスチックのカバーを はずしたその後で
短い夢を見てる おかしなフライデー

プラスチックのカバーからカセットテープを取り出し、ひとときの現実逃避を楽しむ金曜日の夜。

冴えわたる夜空に いきなり現れて
青い猫目のビームで 突き刺すような
のっけからレーザービームが夜空に突き刺すようなイメージの、スカッとする音楽が流れ出す。

君は今 誰よりも
とがっている とがっている
とがっている とがっている
それを聴いている“君”は今、誰よりも尖ったヤツになっている。

死ぬほど寂しくて 扉をたたいても
繰り返されるテープの 音は消えず
死ぬほど寂しくて心の扉をたたいても、繰り返し流れるテープの音楽が耳から離れないだろう。

散らかった世界は 少しずつ渇いてく
壊れかけのサイボーグを 磨きながら
散らかっていたアイデアは、ブラッシュアップしながら徐々に固まっていく。

俺は今 誰よりも
とがっている とがっている
とがっている とがっている
曲を作っている“俺”は今、誰よりも尖ったヤツになっている。

君は今 誰よりも
とがっている とがっている
とがっている とがっている
とがっている とがっている
とがっている とがっている
の曲を聴いている“君”は今、誰よりも尖ったヤツになっている。

歌詞から、
“君”=カセットテープを聴いている人⇒ファン
“俺”=カセットテープから流れる曲を作っている人⇒スピッツ

ということがわかってきました。

また「Spitz」は犬の系統としてよく耳にする単語ですが、ドイツ語で「鋭利な」「尖った」という意味です。

君は今 誰よりも
とがっている とがっている
⇒スピッツの曲を聴いている“君”は今、誰よりもSpitzだ。

俺は今 誰よりも
とがっている とがっている
⇒スピッツの曲を演奏している“俺”は今、誰よりもSpitzだ。

つまり、
「スピッツの曲を聴いて尖っていこうぜ!」
「最高にイカしたヤツになろうぜ!」
「一緒に盛り上がって行こうぜ!」

ということですね。

「トンガリ'95」=「Spitz'95」

なるほど、これは間違いなく95年のスピッツのテーマソングだ!

以前、スピッツの歌詞における「カドがあるもの」や「とげとげしいもの」は「性」をあらわしているという話をしましたが、この曲における「とがっている」は、スピッツがテーマにしている世界観(「死と性」、転じて「生と愛」)のすべてあり、スピッツがその名の通り尖った存在であり続けたいという願望と、みんなもそれについてきてほしいという願望が込められているような気がしました。

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