スピッツ歌詞考察（第61回）春の歌

【基本情報】

春の歌
作詞：草野正宗　作曲：草野正宗　編曲：スピッツ＆亀田誠治
4分41秒

＜リリース日＞
2005年1月12日（11thオリジナルアルバム「スーベニア」）
2005年4月20日（30thシングル）
※「スーベニア」からシングルカット。「テクテク」と両A面シングルとしてリリース。

＜収録アルバム＞
スーベニア（2005年1月12日リリース、11thオリジナルアルバム）
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection（2006年3月25日リリース）

＜タイアップ＞
コカ・コーラ「アクエリアス」CMソング（2005年）
ロッテ「ガーナチョコレート」CMソング（2014年）

＜備考＞
2017年に藤原さくらによるカバー・バージョンが映画『3月のライオン』（後編）の主題歌となった。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

重い足でぬかるむ道を来た　トゲのある藪をかき分けてきた
食べられそうな全てを食べた

長いトンネルをくぐり抜けた時　見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった

「どうでもいい」とか　そんな言葉で汚れた
心　今放て

春の歌　愛と希望より前に響く
聞こえるか？遠い空に映る君にも

平気な顔でかなり無理してたこと　叫びたいのに懸命に微笑んだこと
朝の光にさらされていく

忘れかけた　本当は忘れたくない
君の名をなぞる

春の歌　愛も希望もつくりはじめる
遮るな　何処までも続くこの道を

歩いていくよ　サルのままで孤り
幻じゃなく　歩いていく

春の歌　愛と希望より前に響く
聞こえるか？遠い空に映る君にも

春の歌　愛も希望もつくりはじめる
遮るな　何処までも続くこの道を

春の歌（作詞：草野正宗）

【考察】

重い足でぬかるむ道を来た　トゲのある藪をかき分けてきた
食べられそうな全てを食べた
今までの人生は険しく、茨の道をかき分けるような道のりだった。
いただけるものは全ていただき、できることは何でもやってきた。

長いトンネルをくぐり抜けた時　見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった
長いトンネルを抜けたと思ったら、見慣れない景色が広がっていた。
実はやっとスタートラインに立ったところだったんだと気づいた。

「どうでもいい」とか　そんな言葉で汚れた
心　今放て
「どうでもいい」とか、投げやりになっていた心を今解き放て。

春の歌　愛と希望より前に響く
聞こえるか？遠い空に映る君にも
春の訪れが愛と希望を生む。
遠く離れた場所にいる“君”にも、この想いは届いているかい？

平気な顔でかなり無理してたこと　叫びたいのに懸命に微笑んだこと
朝の光にさらされていく
平然を装っていても実はかなり無理していたことや、心で悲鳴をあげていても必死に笑顔を取り繕っていたことが朝の光によってさらされていく。

忘れかけた　本当は忘れたくない
君の名をなぞる
忘れようとしたけど、本当は忘れたくない。
“君”のことを何度も想う。

春の歌　愛も希望もつくりはじめる
遮るな　何処までも続くこの道を
春の訪れが愛も希望も形にしていく。
どこまでも続くこの想いを、自分自身で断つんじゃないぞ。

歩いていくよ　サルのままで孤り
幻じゃなく　歩いていく
未熟なままでひとり歩んで行く。
絶対に叶えてみせる。

春の歌　愛と希望より前に響く
聞こえるか？遠い空に映る君にも
春の訪れが愛と希望を生む。
遠く離れた場所にいる“君”にも、この想いは届いているかい？

春の歌　愛も希望もつくりはじめる
遮るな　何処までも続くこの道を
春の訪れが愛も希望も形にしていく。
どこまでも続くこの想いを、自分自身で断つんじゃないぞ。

今まで何をやってもうまくいかず、まるでぬかるむ道や茨の道を歩くような険しい人生でした。
そんな苦しい時を乗り越え、やっと長いトンネルを抜けてゴールにたどり着いたと思ったら、実はまだやっとスタートラインに立ったところだということに気づきます。

春は新しく生まれ変わる季節。
自分で自分の可能性を閉ざすな。

一度は諦めかけていましたが、春の訪れとともに気持ちを入れ替えることを自分に言い聞かせている、前向きな「希望の歌」です。
そして「遠い空に映る“君”」とは、想いを寄せる人とも、目指いている自分の姿ともとれます。

歌詞の内容的には、
「あきらめないで　それは未来へ　かすかに残るけもの道」（けもの道）
「現は見つつ　夢から覚めずもう一度　四の五の言わんでも　予想外のジャンプで君に会うのよ」（漣）
と似ているのではないかと思われます。
というわけで、テーマは「死」からの「生」でしょう。

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