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日常生活に彩りをそえて|エッセイ

 よくよく見かける作家さんのエッセイであったり小説の一節には、日常生活がまるで絵のように描かれている。
 私がすきなのは、梨木香歩さん著『不思議な羅針盤』や津村記久子さん著『ワーカーズ・ダイジェスト』、坂木司さん著『女子的生活』、など、なんとも言えない細かい描写が美味しい作品である。美味しい文章は、私の日常を彩り、そっと華やぎを添えてくれる。

 そんな私の日常であるが、最近現実的な彩りとして恋人の存在が増えた。自らの生活に他者の要素が入るというのは、それだけバリエーションも豊かになるということである。自分だけのためには作らない料理も作ろうと思えたり、自分だけでは観ないような映画を観ようと思えたり、掃除洗濯にも気を遣ってみたりと、生活に張りが出る。他者のいる生活は怠惰からの脱却の一歩であり、普遍的な生活への一歩でもある。無論相手の人柄にもよるのだろうが、穏やかな日常生活に憧れる私としては、恋人の派手でない気質が非常に有難い。私はすぐに人の影響を受けるので、がちゃがちゃした人といるとがちゃがちゃするし、穏やかな人といると穏やかになれるのだ。

 とは言え、一緒に暮らすということは、幅を広げることであると同時に枠を狭める行為であるように思う。ひとりではないからできることが増える、と同時に、何をするにしても相手の同意を得る必要がある。
 例えば、料理。私は梅干しや紫蘇がだいすきで、なんなら梅干し漬けるの挑戦したい! と思っているのだが、恋人は梅干しも紫蘇も苦手なので難しい。例えば、趣味。私は静かな空間で小説を書きたいのだが、恋人はいつもYouTubeを流すか映画を観ようと提案してくるので難しい。例えば、生活リズム。恋人は夜型の人間であるが私は仕事が早いので、合わせて早寝早起きをしてもらっている。
 あれ? 合わせてもらってばっかりだな?
 

 先日ようやく本棚を導入した。これで私の自由度も幸福度も格段に向上する。部屋のレイアウトも若干変えたので、こうやってPCと向き合うスペースも確保できるようになった。もう暇を持て余して構ってちゃんになることもないだろう。これで彼もひとりの時間を満喫できるようになるはず。

 こうやって、ひとつひとつ変わっていく。ととのっていく。生活を組み立てていくのは楽しい。トータルで生活を美味しくしていきたい。

  
 

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