彼の「得意」に甘えて生きる。
ここ最近、昼下がりに珈琲を淹れるためにキッチンへ向かうと、シンクに溜まっていたはずの食器たちがきれいになくなっている。ぼくはそのことについて、ひそかに苛立ちを募らせていた。
食器洗いはぼくの担当だと決まっているのに、気がつくと要領の良い夫がちゃちゃっと仕事の合間に済ませてしまう。自らのできなさを突きつけられているようで、有難さよりも惨めさが胸を支配した。「やるから置いておいて」と言っても、「でも手が空いてるから」「できるほうがやればいいでしょ」で終わらせられてしまう。そして