世界が終わったその後に① ~ショートショート~
――昨日、世界が終わった。
「あーん。もう、そっちの取ってよう!」
ネイラはもう言って、持っている棒で水面をつついた。その棒は僕の背ほどもあって、ぐわんぐわんと弛んで上下する。瓦の上を進んでいたロイが、無表情でその棒をぐいっと押さえた。
「ノア。それよりもロープ」
言われて、あ、と僕は思い出す。ごわごわとした太いロープは、もうすぐ手が届きそうなところにある。
「ご、ごめん。ちょっと待って」
左手を水面から飛び出た電柱に掛けて身体のバランスを取りながら、水の下で揺れる