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『ファントムメナス』

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書き下ろし小説の第七弾、『ファントムメナス』をマガジンにまとめました!
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記事一覧

ファントムメナス⑪

 弐郎の並びの時と同じように、ミズキの車の後部座席にたきな達はクラリスを真ん中にして三人…

ファントムメナス⑩

 リコリコの硬い床に投げられ、そのまま押さえ込まれていた阿久津が、ミカの太い肩をタップす…

『ファントムメナス』⑨

   マダムの拳。  落としきった重心で、靴をアスファルトに喰らい付かせ、太い下半身で体…

『ファントムメナス』⑧

 鍵の閉まる音を切っ掛けに、たきなは音もなく、そして迅速に警戒しながら進んで行く。  ま…

『ファントムメナス』⑦

「千束!」  たきなは倒れている千束に駆け寄ると、オロオロぷるぷると震えるばかりのクラリ…

『ファントムメナス』⑥

 クルミの行動は迅速だった。  千束達との通信が途切れた事に気づき、再接続を試みつつも二…

『ファントムメナス』⑤

 千束がクラリスと共に小走りに横断歩道を渡ってくるのが見えた時、すでにたきなはやるべき事を終えていた。  尾行者の肩をつかむと同時に引き寄せ、バランスを崩しかけた相手の膝裏につま先で軽く一撃を与えてその場に跪かせると、背後から髪の毛をわしづかみにしつつ、もう一方の手で逆手に握ったペンを頭蓋骨と頸骨の隙間に軽く突き立てていた。  やや上向き加減のペン先はすでに皮膚を破っており、もし暴れようものなら、ここからどうなるのかは追跡者の彼にもしっかり伝わっている事だろう。 「たき

『ファントムメナス』④

 店に入った瞬間に全員が声を漏らした理由……一つは、正直さして広くない店内にも、さらに人…

『ファントムメナス』③

 ミズキの車は蔵前橋通りを東へと進み、錦糸町の隣町、亀戸に入って少し行った所で停められた…

『ファントムメナス』②

 クラリスと千束が握手をした後、阿久津が立ち上がるのを待って……ようやく、そして、何故か…

『ファントムメナス』①

 今宵は喫茶リコリコのゲーム会だった。  やっているのは『人狼』。  小上がりになってい…