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『ファントムメナス』⑦

「千束!」

 たきなは倒れている千束に駆け寄ると、オロオロぷるぷると震えるばかりのクラリスを押しのけ、膝をつく。

 敵の銃は二二口径程度の小口径の弾。一発被弾した程度なら……頭部、心臓などの重要器官以外ならまず即死はしない。治療は可能だ。

 一目で頭部ではないとわかった。頭部の被弾は血が目立ちやすく、色素の薄い千束の髪ならなおさらだった。

 ならば腹部か。

 そもそもリコリスの制服は簡易防弾の機能を有しているが、果たしてそれが二二口径の直撃弾を止められるものなのかどうかを、たきなは知らなかった。

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