#33 遠い星で、また会おう。
※この作品は、フィクションです。
しばらくして、目が覚めた。時計は5時。いつも起きる時間だ。しかし、なんだこの頭痛は。意味が分からない。頭のてっぺんから首筋にかけて、猛烈に痛い。体を起こそうにも、頭が痛くて重くて、それどころじゃない。痛い。重い。苦しい。ああもうこれ、学校どころの話じゃない。なんだこれ。気持ち悪い。
リビングを這って、電話台の下にある引き出しを開ける。体温計。寝転がったまま体温を測る。息が荒れる。苦しい。熱は?37.1℃?これで微熱?インフルエンザになったときよりきついんだけど。
頭を必死に押さえつけて、体を丸める。痛みは一向に良くならない。ぐわんぐわんと頭から音がする。脳味噌の中で血が脈打つたびに、トンカチで叩かれたような衝撃に襲われる。なんだこれ。母さん、こんなもの飲んでんのかよ。
どれくらい時間が経ったか分からない。廊下の方から音がする。浩介が起きてきた。俺は、全ての力を込めて、体を起こし、テーブルのいつものところに座った。
「兄ちゃん、起きてたんだ。」
「うん。」
「昨日、ごめんね。」
「あ、いや、俺こそ、ごめん。なんかイライラしてた。」
「今日から、ちゃんとする。」
「それよりさ。」
「ん?」
「ちょっと具合悪くて、朝ごはん、出来てないんだよね。ごめん。」
「え?そうなの?」
「熱測ったけど、微熱だった。」
「学校は?」
「とりあえず、自分で電話する。ごめんけど、今日の朝飯、適当に自分でやって。」
「わかった。部屋で寝たら?」
「そうする。」
俺はすくっと立ち上がり、スタスタと部屋に向かう。部屋の扉を閉めたところで、また、あの頭痛が押し寄せてきた。布団に潜り込み、頭を抱え、丸くなった。痛い。重い。苦しい。眠いのに、眠れない。寝たいのに、寝れない。
しばらくして、部屋の扉が開く。浩介が「学校、行ってくるね。」と一言言われた。
俺は、浩介が学校に行った後、リビングまで這って行って、高校に電話した。担任が不在だったから、出てくれた先生に、「4組の山元は、今日、体調不良で休みます」と伝えた。
そのまま、リビングで横になった。額から冷たい汗が落ちてくる。頭が痛い。苦しい。もがきながら、痛みが和らぐ体勢を探した。体を丸めてうつ伏せになり、額を床に付け、土下座をするようなポーズが一番楽だった。そのまま、意識が飛んでいった。
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この物語は、著者の半生を脚色したものです。
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