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#31 遠い星で、また会おう。

※この作品は、フィクションです。




 ある日、また、母さんが遺書を書いて夜中手首を切っていた。今回は、結構傷が深く、開いた皮膚から奥の薄いピンク色の肉が見えていた。さすがに、これは家でどうにかできないと思って、4度目の救急車に乗った。いつも通りのやり取りを終え、母さんを救急センターに預け、帰宅して、食事の準備と掃除をして、すぐ学校に行った。

 夕方、風呂から上がって、洗濯を回そうとしていた時、浩介が食器を洗っていないことに気づいた。

 「浩介、食器、早く洗えよ。」

 「後でやる。」

 「何か、やることあるの」

 「今、ドラマ見てるから、終わってから。」

 浩介はマイペースで、決まった時間に決まったことをやるタイプではない。でも、この日は、なぜか妙にイライラしていた。

 「あのさ、何で先に洗わないわけ?ドラマ観る前に、時間、あったでしょ。」

 「いいじゃん。別に寝るまでの洗い終われば、困らないじゃん。」

 「寝る時間が遅くなるだろ。」

 「俺、中2だし。小学生じゃないんだから、自分で起きれるし。」

 「いや、先に洗ってくれってお願いしてるだけじゃん。」

 「だから、今日は無理。今度から気を付ける。」

 「なんだよそれ。今度からちゃんとやるの?」

 「うるさいなあ。しつこい。寝るまでにやるって。黙って。」

 「ちゃんと返事ぐらいしろ!」

 「なんで、そんなどうでもいいことで俺がそんなに文句言われないといけないわけ?兄ちゃん、母さんみたいだね。」

 カチン。俺は座っている浩介の頭を右足で蹴とばして、浩介の顔を、グーで殴った。倒れこんだ浩介は、すぐに丸くなって、体を伸ばす勢いを使って、俺の腹に蹴りを入れた。

 「調子に乗んなよ!」

 「うるさい!じゃあ、兄ちゃんが勝手に洗え!死ね!」

 そう言って、浩介は部屋に行き、家中に響くほどの音を立ててドアを閉めた。その後、家の中は妙な静寂に包まれた。

 そんなにキレる意味が分からない。「母さんに似ている」なんて、許せない。


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この作品は、著者の半生を脚色したものです。

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