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#27 遠い星で、また会おう。

※この作品は、フィクションです。




 いつもなら、もっと先のバス停で降りるのだが、今日はそうはいかなかった。大通りで一度バスを降り、電車に乗り換える。街の中心地にある救急センターだ。受付で母さんの名前を言い、転院に付き添うことを伝え、8階までエレベーターで上がる。エレベーターを降りてすぐ目の前の個室に母さんがいる。母さんは「ごめんね。」と言い、弱々しく返事をした。

 「ちゃんと、ご飯は食べた。」

 「うん。」

 「顔色悪いよ?大丈夫?」

 「うん。」

 「お母さんのせいで、ごめんね。」

 「わかったから、早くいこう。」

 俺は母さんの荷物を持ち、看護師さんにお礼を言い、タクシーに乗り込んだ。自宅まで、母さんと一言も口をきかなかった。母さんは何か話していたみたいだけど、俺が反応しないことを見て、口を開かなかくなった。

 家に一度帰って、母さんの入院用の荷物をキャリーケースに詰める。母さんは「今日で最後だから。」とキッチンでタバコを吸い始めた。どうせ、辞められないくせに。

 荷物をまとめ、再びタクシーを呼んだ。今度は、島内駅の裏手にある丘の上の病院が目的地だ。俺は、母さんを後ろに乗せた後、その横に荷物を置き、その後タクシーの運転手にお願いして、助手席に乗せてもらった。
タクシーから見える道のりを覚えるつもりで、前を向いた。母さんは、何をしているのかは分からない。気にはなるけれど、振り向かないことにした。

 遠くの空を眺めながら、また、窓の汚れが気になった。指で触ってみたけれど、やっぱり外側の汚れみたい。拭えない窓の汚れが、俺にへばり付いて監視しているような気がして、疲れる。母さんを送ったら、とっとと家に帰って休もう。宿題、どうしようかな。

 この時、朝から何も食べていないことを思い出した。

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この物語は、著者の半生を脚色したものです。

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