#22 遠い星で、また会おう。
※この作品は、フィクションです。
部活には、時間とお金がかかる。K高のソフトテニス部は、毎週の土日に部活がある。いつもの登校時間に学校に来て、日が落ちるまで続く。週に1度は、市営のテニスコートに行き、他校と練習試合をする。バス代は自費。試合に出るのは、レギュラーの先輩たちだけだから、1年生は応援をする。コートの金網にしがみつき、必死で声を出す。意識が飛ぶ。
「おい!山元!お前、先輩の試合の応援中に何寝てるんだ!やる気出せ!」
「すみません!」
2年の先輩から叱られ、顔をあげて、応援する。試合が終わった後、他の部員は学校に帰って練習をするという。俺は「すみません、門限があるので…。」と帰ろうとした。
「おい、お前、戻って練習しないのかよ。」
「いや、門限が…。」
「親に頼んで、門限ずらしてもらえよ。高校生が門限7時とかありえないだろ。」
「いや、そうは言っても…。」
「そんな風に逃げてるから、お前、下手くそなんじゃないの?応援中に寝てるし、やる気、あるの?」
「すみません…。門限があるので…。」
2年の先輩が、辛辣な言葉をかける。わかってますって。俺は逃げてるだけなんです。もうそんな風に言わなくてもいいじゃないですか。
疲れ切った体をバスの座席に沈みこませた。課題はもう終わってるから、かえってご飯作って洗濯干して食器片付けたら、とっとと寝よう。
「俺、なんで部活を続けてんのかな…。」
心の中で、もうこれ以上は無理かなあ、と思いながら、とぼとぼと家に帰っていた。
明日は学校。課題も終わっていた。珍しく、浩介が「洗濯、俺がしておく。」と言ったので、甘えさせてもらって、部屋に戻った。時計は8時を示していた。食器は明日片付けよう。そう決めると、布団の中で意識が一瞬で飛んだ。
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この物語は、著者の半生を脚色したものです。
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