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閃輝暗点っぽいものを並べたら画家たちのメッセージを受け取った話

ご無沙汰しております。
1月後半は趣味のストリップ鑑賞に走っておりましたが、緊急事態が宣言されてしまい、外に出られない日々のなか、何かを書きたくなった次第であります。

早速ですが、"閃輝暗点"なるものをご存知でしょうか。読み方はそのまま、せんきあんてん。中二病っぽい響きですね。
知らない人が多数を占めるかと思います。筆者も閃輝暗点を見たことがありながら、2chのまとめサイトでその名前を見るまでは知らなかったです。

おおまかに言うと、片頭痛の前兆のひとつです。閃輝暗点は発現から5~40分後には消失し、その後片頭痛の発作が始まります。※発作が始まらない場合もあります。

では、芥川龍之介の「歯車」という小説はご存知でしょうか。

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"閃輝暗点"とは、小説「歯車」の中に出てくる"歯車"のことを指します。
この小説のタイトルの解釈として、主人公の目の中に見えていた"歯車"と、死にまつわる言葉の連想の象徴としての、目には見えない"歯車"の2つの意味合いがあるといわれることが多いです。
どちらの"歯車"も主人公を苦しめ、狂気へといざないます―――。


さて、今回は"実際に目の中に見えていた歯車"の話です。

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このイラスト。ポップでありながらも的確に閃輝暗点を表現しています。筆者はこのイラストの右上を見るのが、まあまあしんどいです。

しかし、時々思うのです。もっとしんどくなりたい...閃輝暗点そのものじゃないけど、閃輝暗点っぽいものが見たい...と。
怖がりの人が能動的にホラー映画を観たり怖い話を検索したりするのと似た感覚です。

なので、筆者が『これ、閃輝暗点じゃん』と思うものを集めてランキング形式で5位から順に発表したいと思います。
あと単純に"閃輝暗点"を見たことのない人に、あの不思議な視覚現象を疑似体験してほしいという気持ちもあります。


※閃輝暗点が見えるタイプの片頭痛持ちの人は、物理的に気分が悪くなる可能性があるので、この先は閲覧注意です。




第5位 Micrsoft Edge のアイコン

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不意打ち部門では第1位にしたい。会社支給のノートPCを自宅でいじっていたところ Windows が「ブラウザを、Internet Explorer から Micrsoft Edge に変えて!」と言ってきたのでよくわからないままダウンロードしたらこのアイコン。ギザギザしていないだけの寒色だけの閃輝暗点です。アイコンのデザインを変えてほしいと願う片頭痛持ちの人は多いのではないでしょうか。
※なるべく目につかないように、Google Chrome を使用しています。


第4位 POLA / ディエム クルール カラーブレンドコンシーリングパウダー

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急に化粧品!?といった感じですが、こちらのパウダータイプのコンシーラー、かなり評判が良いです。使ってみたいけど、ずっと見るのが苦しい...カラフルで渦巻いていて、見れば見るほど閃輝暗点...。

―――シミなどのトラブル部分に合った色調を、点描画のように肌にのせることで、透明感を損なうことなく肌になじませるという新発想。
トラブルを肌色で覆い隠すのではなく、カラフルな点描で美しい肌の一部として演出します。――― 以上、公式サイトより。
"点描画"という言葉が出てきました。第3位以降、意図せず美術作品祭になってしまったので、その伏線といたしましょう。


第3位 ゴッホ作「星月夜」を動かした動画

こちらゴッホ作の「星月夜」。閃輝暗点は、渦巻くように動き、キラキラしています。ゴッホは片頭痛に悩まされていたという情報を聞き、納得したものの、以降ゴッホの絵をじっくり見ることが難しくなりました。
「星月夜」が特に象徴的で動画もありましたが、個人的には「糸杉」という作品の背景のうねりと、右上の空に描かれた細い三日月が無理です。

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こちらが「糸杉」という作品。閃輝暗点は細い三日月のようなものが視界を邪魔することから始まります。この三日月はもしかして...?と勘ぐってしまいますね。


第2位 ピカソ作「泣く女」

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ウワアアアァァァ筆者自身が泣きそう。ギザギザしていてカラフルで、視界の真ん中にいますね、閃輝暗点が。閃輝暗点かも?と思ったとき、実際に発生しているか否かの判断は見慣れた人(知人・広告の著名人など)の顔を見て、おかしな部分がないかを探すとわかりやすいです。
実際の閃輝暗点は、ピカソの絵ほどの違和感はないですが、ピカソには泣いている女性がこの絵のように見える瞬間があったのかもしれません。

ゴッホよろしくピカソの作品―――特に左右非対称になっている人物画などは見るのが苦手、という片頭痛持ちの人は多いのではないでしょうか。
ピカソの作品は、筆者が実際に見る閃輝暗点に近いので、他の作品も例として紹介したかったのですが、やめておきます。


第1位 カンディンスキーの作品

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特に無理、と思うものを選出しました。この作品は何というタイトルですか?調べるためにこの絵を見続けることができません。
カラフルでギザギザした何かが隙間なく描かれており、渦を描いているようで動き出しそうな躍動感を感じます。抽象画なのでしょうが、閃輝暗点が見える人間にとっては、具体性を感じなくもないです。

カンディンスキーの有名な作品、特にきっと彼らしいといわれているものは、見るのがツライです。もし彼とお話できる機会があれば「閃輝暗点を描こうとしているよね?」と訊きます。だって、そうとしか思えないから。

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遠目で見ればだいぶ緩和されるので、カンディンスキーの作風を、画像検索でググった結果のスクショで感じてみてください。
サイケデリックな色使い、直線と曲線が混ざった図形、三日月ともとれる中途半端な黒いライン、渦を巻くようなデザイン…全て閃輝暗点の特徴です。

カンディンスキーが片頭痛持ちだったかどうかは調べても正しそうなソースが出てこないのですが、そうだったのではないかと筆者は考えます。


簡単に情報を得られなかった時代、突然視界を邪魔するきらきらとしたカラフルで渦巻くような動きをする物体が見えた日には、小説なり絵画なり、自分のできる手段で記録する、というのは頷けます。
もしかしたら幻覚の一種と片付けられ、周りに理解されなかった可能性もあります。

"閃輝暗点"っぽいものは、美術作品が多いです。
作品を通して他者へメッセージを発信する』というのは芸術の分野ではよく言われることですが、ゴッホやピカソ、カンディンスキーの発したメッセージは、ほんのちょっとだけ受け取れた気がするので以下に記します。
ワケがわからない、原因不明ってマジ?、狂いそうになる、なぜ他者に伝わらないのか、おれの閃輝暗点を見てほしい、耳落としたくなる…etc.

※筆者は美術方面に全く明るくないので、病気に対する共感・他者に伝えても『何それ?』と不思議がられることに対する共感しかなかった。

"閃輝暗点が見える人間"という字面だけだと、選民意識をくすぐられますが本人にとっては、閃輝暗点=地獄へのカウントダウンです。
筆者は最近、予防薬でマシにはなりましたが、毎週発作が起きていたときは時間も無駄になるし、頭が痛いうえに必ず嘔吐するので最悪でした。
周りに片頭痛持ちの人がいたら優しくしてあげてください。


最後に、この記事を読んで気分が悪くなってしまった人がいましたら、ほんとうに、ほんとうにごめんなさい。
怖いもの見たさがもたらした結果は、若干の吐き気でした(筆者の場合)。怖いものは、見るべきではありませんね。
片頭痛持ちの人達が、もう一生片頭痛の発作が来ないことを祈っています。



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