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食事で紫外線に負けない肌をつくる!

みなさま、こんにちは。ラブテリ研究チームの横尾です。夏日になる日も出てくるなど、すっかり初夏の陽気になってきました。週末子どもたちと何時間も公園にいる身としては、晴れると嬉しい一方、紫外線が非常に気になります。マスクにサングラス、帽子と、知り合いに会っても気づいてもらえないほどの防御をしております。化粧品会社研究所に勤務し、日々紫外線の怖さを目の当たりにする身としては、なんとしても「防げるものは防いでおこう」と思わざるを得ません。

さて、紫外線から肌を守るために大きな効果を発揮するのは、もちろんサンスクリーンの塗布ですが、体の中から食品成分によっても紫外線ダメージを防げることをご存知でしょうか。食品による紫外線防御について、最近出た論文2報を取り上げて解説したいと思います。

食品が肌を紫外線から守れる理由

まず1報目(1)は、アメリカ・ロサンゼルスからの報告ですが、研究対象者としてはアジア人女性を対象とした研究となります。言わずもがな、皮膚の色によって(それはすなわち皮膚中のメラニンの量によって異なるのですが)紫外線への皮膚の反応は違ってきますので、日本人と同タイプの肌色をもつアジア人女性での研究の結果は、私たちにとって参考になると言えます。

こちらの研究では、3か月間、1日当たり1.5オンス(約42.5g)のアーモンドを摂取したところ、対照群(1日当たり1.8オンス=約51gのプレッツェルを食した群)と比べて、紫外線照射後の肌の赤みが起きにくくなったということです。研究者らは、アーモンドの中に含まれる、不飽和脂肪酸、ビタミンE、ポリフェノール類など、抗酸化効果をもつ成分が関わっていると考察しています。世の中で「紫外線から肌を守る」と言われている食品は、決してそれ自体がサンスクリーンのような「紫外線を遮蔽する効果」を持つわけではなく、ほとんどがそれがもつ「抗酸化効果」によって、紫外線照射時に皮膚で発生し炎症やメラニン産生を引き起こす「活性酸素」などの働きを阻害することをメカニズムとしています。

それにしても、アーモンドは1粒1~1.2gとのことなので、42.5gですと35~43粒ということになりますね・・・。ちょっとこれをこのまま実践するのは正直厳しいと思ってしまいます・・・。

未来を感じる新たな紫外線防御メカニズム

そしてもう一報(2)も、アメリカ・ロサンゼルスからの報告なのですが、こちらは先ほど書いた「食品の紫外線防御メカニズムはほぼ抗酸化効果」を覆すような、非常に近未来感を感じる興味深いメカニズムを考察していたのでご紹介します。

こちらの研究では、74名の女性が3群に分かれ、ザクロ果汁、ザクロ抽出物、プラセボサンプル(比較対照のための効果のない食品)を3か月間摂取しました。ザクロ果汁および抽出物を摂取した群では、対照群に比べ、先ほどのアーモンド同様、紫外線を当てたときに肌が赤くなりにくくなりました(炎症が起きにくくなったということです)。

この研究の興味深い点は、これだけではなく、実は食品摂取前後での皮膚の細菌叢(皮膚にどんな細菌がどれくらいのバランスでいるのか)を調べていることです。摂取した食品によって、細菌叢にさまざまな変化があったようなのですが、まず①食品摂取によって、腸内細菌だけではなく皮膚の細菌叢が変化するということ、そして②変化した細菌叢の中に紫外線をカットする色素を持つ細菌(メチロバクテリウム属)が含まれていたこと、が注目すべき点です。

①の点については、研究者らは、ザクロに含まれるポリフェノールであるエラジタンニンの代謝物が血中にのって皮膚まで届き、皮膚の細菌叢バランスを制御する可能性を考察しています。また、②の点については、メチロバクテリウム属の増減と、今回観察された「紫外線によって肌が赤くなりにくくなる効果」との関連が現時点で薄いということで、まだこれからの研究が必要である段階のようですが、もしこういったメカニズムが存在するならば、文字通りの「飲むサンスクリーン」も実現可能かもしれないということですね。非常に夢のあるレポートだと思いました。

以上、今回は、食品で肌を紫外線から守るということについて、最新の論文2報を解説しました。抗酸化効果が高い食品というと、色鮮やかな緑黄色野菜などが該当しますので、紫外線が強まるこの時期は、まずはそういった食品を積極的に摂ることから始めてみてくださいね。

参考文献
(1) Li et al. Almond consumption increased UVB resistance in healthy Asian women. J Cosmet Dermatol. 2021 Jan 24.
(2) Henning et al. Pomegranate Juice and Extract Consumption Increases the Resistance to UVB-induced Erythema and Changes the Skin Microbiome in Healthy Women: a Randomized Controlled Trial. Sci Rep. 2019; 9: 14528.

\私が記事を書きました/
横尾美星: ラブテリ研究チーム所属。2児の母。ラブテリでとったデータを国内のみならず世界にも発信し、女性・子どもの健康ケアの重要性を世の中に伝え、環境整備につなげていくのが夢です。


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