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ユーザーと共に「LUUP」を進化させるハブとして、CSチームは存在する

“街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”というミッションを掲げ、電動マイクロモビリティのシェアリング事業を展開するLuup。電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティを包括的に取り扱い、ファースト・ラストワンマイルの移動手段を確立し、全ての人が自由に移動できる未来を目指しています。

そんなLUUPのサービス提供にあたって欠かせないのは、ユーザーからの問い合わせに対応し、サービスをより良く改善していくCS(カスタマーサポート)。今回は、CSチームにお話を伺いました。

LuupにおけるCSチームの特徴は、SVを中心とした仕組み作り

ーCSチームの立ち上げを覚えていますか?

社内にCS経験者がいたわけでもなく、最初の頃は本当に何をすればいいのか手探りだったので、業務委託の方からの知見を借りつつ、ヘルプセンターや想定Q&Aを作っていました。2020年5月の電動アシスト付き自転車のシェアサービス開始時に必死で進めましたね。

それに、シェアサイクル事業自体に経験がある体制でもなかったので、ネットで検索して、それでもわからないユーザーのインサイトは他社のポートでの使われ方を見に行ったりしていました。例えば、ユーザーはここで体験が悪くなってるとか、そういったところをなるべく調べに行って、できる限り先回りしてサービスのローンチまでに用意しようとしていました。
事業が始まってからも、マニュアル整備は同時並行でしたね。ごく少人数の体制でスタートしたため、社内全体で対応しました。

ー体制を強化し始めたのはいつごろでしょう?

電動キックボードのシェアサービスが2021年4月にローンチするタイミングになって、ライド数の計画に合わせて向こう半年先のライド見込に耐えられるようメンバーを採用していきました。その前から、フォーマットを作ってプロダクト側に改善を提案して反映させていく素地を作っていて、一定のマニュアルはあったのですが、新しい方に入っていただく上ではさらに整えないと回らなくなるなと危機感を覚えて、急速に整備をし始めました。
現在のCSチームの構成は、SV(スーパーバイザー)に加えてオペレーターがいて、合計で22〜23人ぐらいですかね。

ーそれぞれ仕事内容は異なるのでしょうか?

オペレーターが基本的にはユーザーからの問い合わせ対応を行い、SVには二次対応や、まだマニュアルに落としきれていないような対応をバトンタッチしています。主にSVは設計系の業務運営をしてくれています。例えばオペレーターのマニュアルを整備したり、音源を聞いて、各オペレーターに対してCS対応改善のためのフィードバックをしたりなどといった品質のチェックをしています。

ーCSにおけるSVというポジションは、Luup独自のものでしょうか?

少なくともコールセンター全般にはあるものだと理解しています。我々はオペレーターとSVで明確に役割を分けた方が良いと思っています。業務の性質が違うからということと、オペレーターも困った時の引き継ぎ先が用意されていると安心して問い合わせを受けられるからです。適切な対応方法がまだわからない場面にSVがいて、「上席の者に代わりますので」と言える状態を作ってあげると、心理的安全性を担保できます。

チームプレーは、CSにおいてすごく大事だと思っています。また、ユーザーとしても、例え同じ回答だったとしても、別の者から改めてお伝えすることで納得いただけるということもあります。そのための体制を作っていくのは大事だと考えていますね。

ー仕組み作りを行う中で、システムを自動化してるところが特徴だと伺いました。工夫していることや特徴はありますか?

以前は、オペレーターがチャットや電話でオンラインになっているかどうかが把握、管理しづらいという課題がありました。例えば、お昼休憩になった人が席を外す時に、その人しかオンラインじゃなかったがために、CSチーム全体が完全にオフラインになってしまったことがありました。そうするとユーザーからお電話いただいても、誰もいない状態になってしまうんです。我々は、応答可能な状態を常にキープすることが一番大事だと思っています。いつでもCSに繋がる状態であることによって、安心してLUUPのサービス自体をご利用いただけることになるのかなと。だから、お問い合わせを受けられない状態を作るのは可能な限り避けたいと考えています。

そこで、Zendesk(※)とSlackを連携させて、「誰も応答できない状態になっているよ」という通知がされるような仕組みを作りました。Zendeskでは、各オペレーターごとに電話やチャットをオンライン/オフラインにするという切り替えができるんです。この切り替えを、例えば電話のオンラインになってるメンバーが0になったら、Slackに「今0になりましたよ」と通知が届くようにしています。
今どんな状況か、みんなが見えるようになることで、誰もいなくなってしまった場合は普段は一時対応をしないSVが代わりに出るとか、そういう形で補い合うことができるようになりました。

※Zendesk…カスタマーサポート・サービス管理を効率的に行えるシステム・ソフトウェア。

CSチームのSlack連携システム

ユーザー起点でプロダクト改善に繋げていく

ーユーザーの満足度はどうやって測っているのでしょうか?

お問い合わせの回答24時間後を目処に、メールでGoodまたはBad評価のフィードバックを頂いています。満足度は、この評価を頂いた中からGood評価がどのぐらいあるのかを記録して定点観測しています。チームとしては目標としている数字があり、そこはクリアできています。今のところはほぼ全ての方に、Goodを押していただいていますね。

とはいえ、そもそもサービスに対して何かしらの不満がある中でお問い合わせを頂くので、CSとしてユーザーの期待に沿えない部分がありますし、改善がいつできるのかも約束できかねてしまう部分があります。その点については、申し訳なく思うとともに、一つずつしっかりと向き合って、プロダクトやCS自体の改善に繋げていきたいと思っています。CSがLUUP全体の満足度を高めていくための一つの接点となるべく、日々取り組んでいます。

ー改善という話がありましたが、ユーザーから頂いた声を、他部署との定例でも共有されてますよね。これまでに実装に至ったものはありますか?

我々はユーザーから頂いた声は全てタグ付けしていて、どういった問い合わせが来たのかデータで追えるようにしています。例えば日ごと週ごと月ごと、もっと長い期間でもどういう状態になってるのかを見られます。

プロダクトについて声が多く寄せられているものに関しては、優先順位を高めて開発することに繋げていけるので、そのあたりも整理をしていますね。
実際に頂いたご意見によって改善されたことは、本当に色々あるのですが、細かいところだとアプリ内の文言です。例えば、ライド終了時やエラーの文言、クーポンの文言を変えていくとかもそうですね。

また、ライド後にその情報をSNSにシェアする機能がありますよね。これもCSで改善提案を出し実装された機能です。

ーTwitterを見ていると、利用されている方を見かけます。それもCSが起案したんですね。

そうですね。ソフトウェア、ハードウェアでそれぞれどういった問い合わせが来てるのかは、定量面・定性面含めて集計・共有していますね。もちろん開発の優先順位があるので一概にというわけではないのですが、声を上げていることを酌み取ってもらっている部分もあると理解しています。

ーSlackを見ていて、よくエンジニアと連携しているSVの方がいるなと感じます。どのように他部署と連携しているのでしょうか?

SVに関しては、ほぼ全てを役割分担しているんです。ソフトウェア関連はこの方、リスクマネジメント関連はこの方、ポートオーナー関連はこの方、という風に。その上で、それぞれのKPIを設定しています。ソフトウェアに関しては、元々エンジニアの素地があって、プログラミングの知見もあるSVが担当してくれています。いろんなところを見て、自分からガシガシ動いてくれていますね。

ーユーザーと一緒に作っていくという感覚があると思うのですが、どういう意識で試行錯誤してきたのでしょうか?

LuupのCSで、少しでも驚くような体験を与えられたらと思っています。例えばレスポンスの早さみたいなところですかね。

ーレスポンスの早さについては、たまにSNSでもユーザーの声が投稿されていますよね。

ユーザーは、A地点からB地点になるべく早く移動したいがためにLUUPをご利用いただいてる部分も大きいのかなと思っています。1分1秒でも早く移動したいと思っている方にとって、CSに問い合わせるという行為自体が、本当は望ましくないことなので、そこから我々ができることは、なるべく早くトラブルを解消すること。これはすごく大事だと思います。それに、姿は見えないのですが、「こんな寒空の中でお問い合わせいただいてるのかな」とか「暑い中やってくださっているのかな」とか、ユーザーが置かれている状況を想像することは意識しています。

早さを実現するためには、一つ一つの情報がオペレーターみんなにしっかり行き届いている必要があります。そうすることによって、自信を持って意思決定ができると思います。マニュアルを整えて、この対応のときにはこう返すという方針を決めて、なるべく早く対応できるような状態を作るのが大事。ユーザーにまたLUUPを使いたいと思ってもらえるためにも必要なことだと感じます。

ー移動手段であるからこそ、ユーザーの時間を少しでも奪いたくないということだったんですね。街じゅうを「駅前化」するインフラをつくるためには、ユーザーだけでなく街の皆様と共生することが必要ですよね。

そうですね。ユーザーはもちろん、街の皆様からのご意見はやはりCSが受け止める機会が多く、日々向き合わないといけないなと思っています。
もちろん社内にもお問い合わせいただいた内容は伝えていますが、少なくとも我々がお話をお伺いをして、しっかり受け止められていると感じてもらえるっていうのはすごく大事なことだし、もっとやっていかないといけないなと思う部分ではありますね。

ー問い合わせはどれくらい来るのでしょうか?

サービス開始初期はサービスが未熟故のお問い合わせをいただいていましたが、現在は大幅に減っていますね。我々がクリティカルな部分をフィードバックしてより良くなっていくようにしていることもありますが、どんどんプロダクト自体が改善されてきていて、今の数値になっています。アプリの体験も向上し、車両もバージョンアップしていて、さまざまな要素が相まっているので、各部署と連携し、かなり安定してきてるなと。

あるべき姿でいうと、そもそもCSって本来はない方がいいんじゃないかと思っています。ユーザーが問い合わせることなく使えるのがベストな状態。だからこそ、お問い合わせをそもそも頂かないようにするにはどうしたらいいかを日々考えています。

Luupが目指す未来から逆算して、必要なことへ取り組む

ー1年で一気に拡大したと思うのですが、難しさを感じたことはありますか?

その時々で、最善だと思うことをやってきてはいるのですが、ずっとトライアンドエラーをしている感じはしますね。例えば、CSの営業時間は最初、10時〜17時だったんです。ライド数も開始までは読めておらず、それほど問い合わせ数もないと思ったんです。最初の方に話した、いつでもCSに繋がる体制の重要性っていうのも最初はあまりわかっていなかった部分があるので「これじゃ対応しきれない」となり、現在は深夜も緊急対応窓口として開くようにしています。これもやってみないとわからなかったです。
最初は電話とフォームのみの対応で、その後チャットを入れ始めました。チャットがかなり機能していて、ユーザーからの導線としてはかなり重要になっています。ユーザーにとってもお話する手間がかからないですし、ここをもっと突き詰めていけば、よりスムーズに対応できるようになるのかなと。

ー今フォーカスしてる内容や今後取り組みたいこととはありますか?

まずは、足元をもっと固めていくという部分です。ユーザーからご連絡いただいて、しっかりご納得いただけるような対応をしていくことはやはり肝だと思っています。日々勉強させていただいて、良い応対ができるように準備していくところですね。

その上で、未来から逆算して何ができるのか考える部分も大事だと思っています。例えば、今だと観光需要が戻ってきているので、ここをどのように捉えてオペレーターはどう対応していくのか、しっかり考えないといけません。改正道路交通法に関しても、適切にご案内できるように準備していくのは非常に重要だと思います。このあたりは、経営層も巻き込みながら進めたいですし、施行のタイミングでは即座に対応できるようにしておく必要があると思っています。

あと、個人的にはCSをオンボーディングの中に入れるということもできたら良いなと思っていますね。新入社員が1週間〜2週間ほどCSチームで働いてみるみたいな。
SVのメンバーが、オンボーディングの仕組みをかなりシステマチックに、新しくオペレーターとしてジョインされた方が独り立ちするまでのフローを作ってるんです。このフロー通りに、一人前になるにはどんな感じでやっていくのかってのはやってもいいですよね。ユーザーの声を聞くのもそうだし、Luupの打席に立つための知見をまず高めるという上でも、CSのノウハウはどの部署でも生きる部分があると思うんですよね。

毎朝CSチーム内でシェアされている格言

ーLuupのCSの面白さ、難しさ、やりがいを教えていただきたいです。

CSチームには多様なメンバーがいます。大きなコールセンターで働いていた方もいれば、元バンドマン、元バレリーナ、劇団員、スキューバダイビングのインストラクター、イラストレーター志望の方など…バックグラウンドは本当にいろいろ。CSの経験がある方が多いですが、接客経験があるという方も中にはいらっしゃいます。いろんな視点から意見をもらえるので貴重ですね。

全社的にもチャレンジしやすい環境だと感じますが、特にCSチームの特徴としては、ユーザーからの意見をもとに、新しいことに挑戦してみたりとか、こうした方がいいよねというアイデアやクリエイティビティを活かすことができます。そのためにコミュニケーションしやすい環境作りにはかなり力を入れていますね。定期的に1on1ミーティングを実施したり、oViceというツールを使ったりしています。

心理的安全性を高めていく部分を大事にしている組織だと感じますし、ここで得た知見は、ゆくゆく他の部署にもうまく展開して、全社的に雰囲気を醸成する一助になれたらなっていう思いでトライ&エラーしていますね。

ーoViceはどういった使い方をしてるんですか?

普段からかなり使っていて、仮想オフィスのようなレイアウトを自分たちで作っています。例えば、SVはこの辺りにいて、オペレーターはここにいるといった形で、何かあったらすぐ声をかけられる仕組みになっています。SVが会議に参加したら明示的にわかるようにしておいて、オープンスペースにいたら基本話しかけていいようにしています。

ー心理的安全性が担保されそうですね。CSだからこそ、活用した方がいいツールな気がします。

そうですね。特にLuupのCSチームは優しい人が多いので、背中を押してあげるのは大事だなと思っています。思ったことを言いやすい環境を作ろうとしていて、そこを引き出そうという仕組みは結構整って来ているんじゃないかなと。風通しをよくするために、SV中心に知恵を絞ってやっていますね。

コミュニケーションの機会をたくさん作るという点では、雑談を大事にしています。僕たち、雑談も自動化してまして…(笑)質問を自動で投げかけるんです。これもSVの方が整備してくれたんですが、SlackとGoogle スプレッドシートを連携させて、Google スプレッドシートに書き留めて、ランダムで各メンバーに質問をしていき、回答内容をこれまたランダムでSlackに全体通知するみたいな。それをすると和むんですよね、CSの雑談チャンネルを作っててそこでやってるんです。

ー雑談も自動化してるのは初めて知りました。面白いですね!

他にもCS内にはチャンネルが色々あって、雑談チャンネルや情報共有チャンネルなどがあります。あと、基礎知識を確認するクイズも行っていますね。例えば、道交法やCS対応のTips的なところをQ&A形式にして、それによって知見を高めるといったことをしています。

クイズ

あとはボットもありますね。CS博士、CSドクター、CSカウンセラー、CSボーイといったボットたちがいて、その4人が定期的にTipsを教えてくれます。例えば、ドクターだったら、「癒しには赤色と緑青色と緑色が効果ありますよ」「疲れたときにはこういう休憩した方がいいですよ」とか、そういう優しい言葉をかけてくれる。メンバーが孤立しちゃうのは避けたいので、試行錯誤しながらなるべく抱え込まないような仕組みを作っています。振り返ると、変なこともやっていますね(笑)

CSカウンセラー

ーCSチームを強化していく上で、大切にしてきたことややりがいを感じたことはありますか?

やっぱりメンバーを最重視してここまで来たと考えています。CSチームは特定の誰かだけで作ってきたというより、メンバーみんなで作ってきたものなので。各自がとてもオーナーシップが高く、みんなLUUPというサービスを大好きでいてくれて、自分が何をできるのかっていう思考をずっと続けて提案してくれることで、強いチームになったと感じています。

また、安定的に稼働しないとCSチームとしてはバリューを発揮できないので、そのために1人1人がすごく大事です。その人がどういう状態なのか把握して、後押しするということはチームマネジメントを担う役割の人が特に重視してきたことだと考えています。

それに、自由にいろいろ設計できること。どういう目標を設計してどのような組織にしていきたいか、枠組みを作って社内でアラインが取れれば進めさせてくれるということは大きいですね。取り組み方次第かもしれないけど、最終的には自分に返って来て、成長を感じられるのでその意味でもやりがいがありますね。

ー最後に、LuupやCSチームの未来に期待していることやワクワクしていることを教えてください!

今後、改正道路交通法が施行されますが、まだ見えていない部分もあります。わからないながらも仮説を立てて、最大限やり切ることができること、そこを考えられることはすごく面白いと思います。

「ミッションの実現のためにとりあえずガンガンやってみます」みたいな人は向いているだろうなと思いますね。受身で待ってる人よりも、自立して形を作って私はこう思いますって強い意見を持てる、そういうエラーを恐れない人が入ってくれるといいなと感じますね。

CSとしては、ユーザーの声をプロダクトに活かしていけることが面白いなと思っています。ユーザーと一緒にLUUPというサービスを良くしていくハブとして、しっかりと機能させていくというのが大事ですね。頂いたご意見を社内に伝えることがLuupの未来を作っていくことに繋がると思うので、その機能を磨いていくことがCSとしてやってくべきことであり、やっていきたいことです。

ーこれからのCSチームに期待ですね。ありがとうございました!

現在Luupでは、カスタマーサポート(マネージャー)を募集中です。詳しくは以下のページをご覧ください!


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