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【逗子日記】 20230804

 骨董市で見た美術雑誌の切り抜き。お店のTシャツのシンプルなデザインにこだわりを感じる。気難しそうな店主なのだろうか。客は、おばあちゃんにお土産だねと言って、たくさん並んでいるこけしの中から小さいものを選んでいた。僕には金がなく、100円コーナーを見て回った。中には50円の本もあった。村上春樹が翻訳したフィッツジェラルド、カミュ...そして副題に"青春"とついた書物がたくさんあった。
 送電所は百葉箱みたいだった。営業前の焼肉屋の香りって、なんだか給食前の時間にいるみたいだ。カレーを食べたい。
 僕は当然、インドという国があって、シタールの音が鳴り響く小さな広場が今この瞬間に存在していると思う。その時、偶然、教会の鐘が鳴っていることもあるだろう。
 鐘の音が川に沿って流れていく。僕は小さな橋を渡っていた。ここからは掘っ建て小屋がよく見えるし、何よりも遠くの風景を楽しんでいると、ぼんやりと紫色の花が浮かび上がってきた。よく見ると、花ではなくブルーベリーであった。
 僕が歩いている町はボロボロの木で建てられたストリートがメイン通りなのだ。
 山並みはあんなもんじゃない。地面はコンクリートじゃない。
 砂だ。そうだ、僕は今、地べたに座ってみた。
 マイボトルに入れて持ってきたアイスコーヒー。それはトートバックに入れても水滴が溢れないから、50円の本は2冊ともピカピカだったのだ。

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