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ランディさんと始めるリコーダー 第1回

予告編的な第0回に続いて、ようやく第1回のレッスンです。レッスンは2020年の7月22日に行いました。初回は、お伝えすることが多くてかなりの長文になってしまいました。レッスン動画をご覧いただければ早いのですが、それを言葉で説明するととても長くなってしまいます。どうぞのんびりとお読みください。もちろん、レッスン動画をご覧いただくだけでも色々とおわかりいただけるかと思います。

0 最初の教材

早速ですが、最初にランディさんにお渡ししたPDFファイルは次の2つです。皆さまも、この2つをダウンロード・プリントアウトして、それを見ながらレッスン動画をご覧くださると良いかと思います。

この2つのファイルは、使う楽器が違うだけで、全く同じ内容です。第0回の最後に(補足)として書きましたが、ソプラノリコーダーもアルトリコーダーと同じイギリス式(バロック式ともいう)の楽器であれば、全ての曲が全く同じ指使いになります。でも音の高さは違うので、高さの違う音が同じ指だということに最初は戸惑うのではないでしょうか。少しずつ慣れていきましょう。
それと、この最初の教材の内容が、リコーダーの導入として「最も易しい」わけではありません。この辺りをとっかかりに、難しそうならもっと易しそう内容に移り、易しそうならさらに進もうというような意図です。さて、ランディさんはこれらの教材にどんな様子で取り組まれたでしょうか。先をご覧ください。

1 ソプラノリコーダーでいろんな音を出してみる

第1回レッスンの始めでは、上に書いたような最初の2つの教材についての説明に続き、まずはソプラノからスタートすることにしました。上のソプラノ用PDFファイルの1段目の楽譜を見ながらいろんな音を出してみましょう。このファイル内の楽譜には音名を書いていなかったのですが、下の画像(楽譜1)には書いておきます。でも、この楽譜に書いてあることを今いっぺんに覚えられなくても構いません。今はただ、この楽譜を眺めながらいろいろ音を出してみるということだけで良いです。

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音名は、上から日本音名、英語音名、固定ドで書いています(日本音名や英語音名にくっついている・や ’ は、その数で高い音域にあるか低い音域にあるかを示すものなのですが、今は無視して構いません)。リコーダーで吹くときは高い方から下がっていくのが最初は吹きやすいので、こういう順に並べました。普通のファじゃなくて、ファのシャープなのはどうして?という疑問も湧くでしょうが、イギリス式(バロック式)のソプラノではファのナチュラルよりもシャープの方が指が簡単なので、最初に出してみる音としては、シャープの方にしておきましょうというだけの理由です。また、下のレッスン動画(1/5)では、ランディさんに英語音名で説明し始めてしまったのですが、いきなりたくさんのことを考えるのは大変なので、当面は、固定ドだけ眺めるというのでも構いません。日本音名や英語音名は、ハ長調=Cメジャーといった色々な調について説明する段階になったときに覚え始めると良いでしょう。

それから、楽譜の下に書いてある数字や - は、指使い(運指)を表します。リコーダーの裏側にある左手親指で押さえる孔を0番として、表側にある孔を上から順に1, 2, 3(←ここまで左手)、次に4,5,6,7(←これは右手)という風に番号を付け、押さえる孔の番号を書いているわけです。少しでも見やすいように、ここでは、開けたままの孔は - で示しています。文字の説明だけではわかりにくいかも知れませんが、レッスン動画の中でも説明しているので、ご覧ください。では、第1回のレッスン動画(1/5)をどうぞ!理屈や知識はともかく、皆さんもランディさんと一緒に音を出してみましょう。

いかがでしたか?ランディさんも最初はだいぶ戸惑われていた様子もありましたが、最後は、拍に乗って続けて吹くことができました。こんな風に拍に乗って吹くのはなかなか難しいところですが、とても順調な滑り出しでした。

2 ソプラノリコーダーで高い音を出してみる

続いて、ソプラノ用のファイルの2段目を眺めながら、高い音を出してみましょう。PDFファイルの方には音名を書いていなかったので、下の画像(楽譜2)に書き込んでおきました。

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各小節で、1番目の音は、最初の楽譜にも出て来た低い音で、2番目の音がその1オクターブ高い音になっています。こういう高い音を出すときには、0番の孔、つまり左手の親指で押さえる孔を少し隙間を開けて押さえるということをやります。これがリコーダー独特のテクニックで、最初はとても難しく感じるところです。でも、とりあえず音を出してみるだけなら、0番の孔にセロテープを貼ってしまうと簡単です。セロテープは、下の図のように貼ります。ごくわずかに隙間を開けます。このように隙間を開けて押さえることを0に斜線を引いて示すのですが、楽譜2ではøという文字で表しています。

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このように貼っておけば、左手親指を閉じると低い音が出て、単に開ければわずかの隙間が開いて高い音が出るということになります。これで左手親指はとても簡単になりますが、表側の指はしっかり押さえるようにしてください。それと、ファのシャープについては、低い音と高い音で右手の指も変わることに注意しましょう。では、ここのところ、ランディさんがどんな風に練習されたか、レッスン動画(2/5)をご覧ください。

いかがでしょう?ポイントは、指よりむしろ息です。各小節の1音符目は低い音なのであまり強く吹かないようにするのですが、2音符目はたっぷり息を流します。リコーダーでは高い音になるほど息を流す量を増やします。1オクターブ差があると息の量の差も大きいですが、低い音どうし、高い音どうしでも、ミファソラと上がって行くごとに少しずつ息の量が増えて最後の高いラ(a''')はかなりたっぷりの息を流す感じになります。ただし、低い方のファのシャープ(f'' sharp)はあまり大きい音を出そうとしない方が落ち着いた音になります。

3 アルトリコーダーでいろんな音を出してみる

ここで、今度は、セロテープを使わずに高い音を出すことに進みたいところですが、その前に、アルトに持ち替えていただきました。

最初に書いたように、今回ダウンロードしていただいた2つのPDFファイル、ソプラノ用とアルト用は、全く同じ内容で、楽器が違っても全て同じ指使いになります。もちろん、音の高さは変わってくるので、異なる楽譜で指は同じということになります。そこがとても戸惑うところだと思いますが、今はまだ楽譜と指の対応が覚えられなくても気にしなくて良いです。それは徐々に覚えて行くことにして、ソプラノと同じ指使いでアルトの音を出してみることにしましょう。楽譜は、アルト用の最初の2段です。PDFファイルには音名を書いてなかったので、音名を書き入れた楽譜の画像(楽譜3, 楽譜4)を載せておきます。

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楽譜3の最初の音ソ(g'')は、ソプラノ用の楽譜1の5番目の音と同じです。位置がだいぶ違うのに同じ音?とお思いでしょう。からくりは、ソプラノ用の楽譜の左端にあるト音記号の上に8と書いてあることです。この8は、実際に鳴る音は書いてある音より1オクターブ上だということを示しています。ソプラノリコーダーの音はとても高いので、このようにして見易い位置に音符を書くようにしてあるのです。(こういうややこしい話は、今は話半分で読み流してくださっても全く構いません)

それと、アルトはソプラノより重いので、楽器の支えも意識すると吹き易くなるかと思います。楽譜3の最初のソ(g'')は、上から2番目の孔のみを左手中指で押さえるのですが、このとき楽器と接しているのは、口と右手親指、左手中指の3点です。下から上へ楽器を支えているのは、下唇と右手親指ですが、左手中指は上から下に押さえて楽器の支えを安定させているわけです。このように3点で挟み込むというのがリコーダーの支え方です。この左手中指の働きを僕は「表側の支え」と呼んでいます。楽譜3の3小節目ミ(e'')では、表側の支えが左手人差し指に替わります。表側の支えの交代については、今回の最後のセクション「「蛍の光」の始まりを吹こう!」でまた説明します。

あとは、ソプラノでやったことと大きな違いはないのですが、サイズが大きくなって楽譜と指の対応も違うと最初は戸惑われるかもしれませんね。では、ランディさんのレッスン動画 (3/5)をどうぞ。

3.1 低いソ(g')について

楽器のサイズが大きいと低い音を出すときにたくさんの指を押さえるのが難しくなってきます。ランディさんも最低音が全然出せないとおっしゃっていますが、それは最初は仕方ないことです。でも、手が小さいとおっしゃっていたのランディさんが、低いソ(g')はあっさり出せました。当面、このソまで出せればいろいろな曲に取り組めます。このソも難しく感じるかとも少なくないと思います。なかなか出せないなあと思ったら、表側の指孔もセロテープで閉じて吹いてみてくだい。そうすると簡単に出せるはずです。ポイントは、指孔がちゃんと塞げているかなのですが、右手薬指の孔(第6孔)が意外と難しいのです。ダブルホールになっていて面積が広いので、薬指の先で閉じようとしてもうまくいかなかったりします。関節に近いぐらいの位置で押さえる方がうまくいくことが多いです。手の形によっては関節に少しかかるぐらいのところで押さえる方がうまくいくという人もいます。要はしっかり押さえられれば良いのです。また、右手を気にしていると左手がちゃんと押さえられていなかったりもするので、なかなか出せない場合はそれも注意してください。最低音のファ(f')については、いずれ改めて説明するので、しばらくは出せなくても気にしなくて構いません。

3.2 左手親指の隙間の開け方

上の動画(3/5)の7'30''あたりからは、左手親指の孔のセロテープを外してやっていただいています。これはなかなか難しいのですが、セロテープを貼ったときに開けたのと同じぐらいというのがポイントです。僕は、左手親指の爪はかなり短く切っていて、次の写真の左の方のように爪を立てるようにしています。爪を短く切っていれば、こう押さえても爪は邪魔になりませんが、孔の縁に少し引っ掛かる程度なら大丈夫です。

爪を短く切ることができない場合は写真右のようにするのも良いかと思います。いずれ、この親指の隙間を開けたり閉じたりが素早く交替するような曲にも取り組むことになり、それに応じて、どうやるのが合理的か見つけていくことになるのですが、今は、音を出すのにちょうど良い隙間を開けることさえできればそれで十分です。

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それにしても、このレッスン動画を見返すと、僕はこの親指の使い方を全く説明しないままでしたね。なんということでしょう!!けしからん、笑。ランディさんがなんとか高い音を出せていたので、それでいいですと思って次に行ってしまいましたね。この記事を書くことで写真を載せられて良かったです。

4 「ほたるこい」を吹こう!

第1回のメインイベントは、これです。リコーダーでいろんな音を出してみたところで、今度は曲を吹いてみましょう。一番最初にやるのは「ほたるこい」にしましょう。〈ほ、ほ、蛍来い。そっちの水は苦いぞ。こっちの水は甘いぞ。ほ、ほ、蛍来い〉という日本のわらべ歌は昭和育ちの方ならご存知と思いますが、リコーダーの練習開始にもぴったりです。ランディさんは、まずはソプラノからやりました。レッスン動画(4/5)の14'52"あたりからはアルトでもやっています。

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どの位置に書いてある音符がどんな指使いなのかというのは、指使いが書いてある楽譜(PDFファイルの最初の2段)を見て調べてください。曲の楽譜には音名も指使いも書き込まないで、覚えて吹くようにしましょう。ただ、最初から全部を間違わないように吹くと考える必要はありません。部分部分に分けて、それぞれの部分を丁寧に練習していきましょう。具体的にどんな風に練習するかは、まずは下のレッスン動画(4/5)をご覧ください。その後に改めて動画内容の説明も加えます。

いかがでしたか?レッスン動画の内容をざっと文章でも書いておきましょう。長文ですが、レッスンで言いそびれたことも整理して書いていますので、読んでいただければ一層理解を深めていただけるかと思います。

この曲は、2小節ずつのフレーズAとBが、ABBAの順に続いています。文章を読むときには、どこに「、」や「。」があってどんな構文になっているか、無意識でも分析しながら読んでいるはずですが、楽譜を読むときにも同様で、全体の構成を見るようにしましょう。

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そして、AとBのそれぞれを練習すれば良いのですが、まずはAの方をさらに細かく分けて、「ほーっ、ほーっ、ほー」にあたる部分を練習しましょう。元の楽譜では、2小節目の最初の音は4分音符ですが、部分練習のときには最後の音は長く伸ばすのがいいです。

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歌詞は「ほーっ、ほーっ、ほー」ですが、リコーダーで吹くときには、声は出さずに「テーッ、テーッ、テーッ」と発音します。そうすると、舌先が上前歯の付け根に着いたり離れたりして、離れているときには息が流れ、着いているときには息が遮られるということになります。このように、舌先を開閉して、息の流れをON / OFFにするのがタンギングです。最後の「ほー」の音を止めるときにも舌先を閉じるので「テーッ、テーッ、テーッ」と書きました。このように、リコーダーでは、音を止めるときには息を流したまま舌先を閉じます。このあたりのこと、初心者の方にはとても難しいと思うのですが、ランディーさんは当たり前のようすぐにできました。そのため、レッスン動画の中ではあまりしっかり説明しなかったのですが、「ほーっ、ほーっ、ほー」と歌うつもりで「テーッ、テーッ、テーッ」と発音すると思うだけで上手くいくならそれで大丈夫です。それを目指して練習しましょう。休符を含んでいても、最初の「ほーっ、ほーっ」が次の「ほー」を導くような一貫性が感じられるように吹くことを目指しましょう。

次は2小節目を取り出して練習しましょう。

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指は、2拍目で親指を閉じて3拍目で開けます。タンギングは「ほーたるこぃ」と歌うつもりで「テーテテテーッ」と発音します。「ほーたる」の「ほー」が、しっかりと長く聴こえるように吹きましょう。ランディさんは、これも非常にスムーズにできていたので、驚きました。できるだけ「ほーたるこぃ」のイメージに近くなるまで練習しましょう。ここまで練習できたら、フレーズAを最初から2小節続けて吹いてみましょう。

続いて、フレーズBです。これは3つに分けて練習しましょう。まずは「そっちのみー」までです。

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これは「そっちのみー」と歌うつもりで「テッテテテーッ」とタンギングします。この楽譜10と一つ前の楽譜9を見比べてみてください。リズムは全く同じということに気づきますでしょうか。このように、リズムが同じでも、歌詞が「ほーたる」と「そっちの」で異なるので、それに応じて、タンギングもちょっと違って来るのです。このようにタンギングの違いによって、音と音のつながりを変化させて、「ほーたる」と「そっちの」の違いを感じさせるようにするのです。このような音と音のつなげ方(あるいは音と音の切り離し方)のことをアーティキュレーション articulation といいます。リコーダーの演奏表現では、歌詞を語っているかのようなアーティキュレーションの変化がとても重要になります。

次は「みーずはにー」に当たる部分を取り出しましょう。終わりの音は元の楽譜より引き延ばします。

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レ(d''')からミ(e''')に移るのに、たくさんの指をいっぺんに動かさないといけないので、ここはとても難しいところです。孔を軽く叩くように動かすのがいいです。特に、左手親指の動きが難しいところですが、このミ(e''')を出すのには、第0孔の隙間はいい加減でも構わないので、ためらいなく動かしましょう。また息も、レ(d''')からミ(e''')に向かって増やして行かないといけません。指も難しいのですが、歌詞の「みー」が十分伸びる感じになるように吹けるといいです。「にー」に移るときには、指を跳ね上げるように動かすといいです。ランディさんは、このあたりも大変スムーズで、一気に「にーがいぞ」まで吹いてしまわれたので驚きました。

ランディさんはすぐに出来てしまわれたのですが、次は「にーがいぞ」を練習しましょう。

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「が」から「に」に移るときに親指を閉じますが、「い」から「ぞー」に移るときも人差し指1本を追加で閉じるだけでいいのです。ここで戸惑う方は多いと思うのですが、ランディさんがすぐに出来たのが驚きだったのです。皆さまはいかがでしょうか?

ここで重要なのは、指もですが、アーティキュレーションです。「が」から「い」に移るのは、滑らかな感じが望まれます。そのためには「テーテテテーッ」と発音するよりも「テーテデテーッ」と発音するつもりの方がうまく行くと思います。いかがでしょう。ここで「テ」と「デ」のタンギングはどう違うの?と考えるととてもめんどくさいことになります(説明しようと思えばできるのですが、ものすごい長文になって、かえって訳わからないことになりそうです、笑)。ここでは、「テ」も「デ」も特に変わりはないけれど、なんとなくフィーリングが違うかもしれないねという程度に捉えておいてください。違いをつけようとして「デ」が曖昧になるのはよくないです。しっかり「テーテデテーッ」と発音しましょう。こういう説明は感覚的過ぎてよくわからないという方も多いと思うのですが、ここでもランディさんは「わかります!!」と心から納得されたご様子だったので、それも驚きでした。理屈的に理解するのはなかなか難しいことなのですが、「にーがいぞー」のつもりで「テーテデテーッ」というリコーダー語をしゃべっているつもりになってください。なんとなく、歌詞の感じが反映されてくるような気がしませんか?

ここまで練習が進んだら、楽譜7に戻って、フレーズBの2小節を続けて吹いてみましょう。AもBもできるようになったら、全体をABBAの順に吹きましょう。このときに、「テーッ、テーッ、テーテテテーッ」というようなリコーダー語で歌詞を語っているつもりで吹くのがよいのです。そして、そのような感覚で吹けば、同じような「テーテデテーッ」であっても「にーがいぞー」と「あーまいぞー」ではわずかに違ってくるかもしれません。物理的な違いは測定不能だったりするかもしれませんが、そのようなわずかの違いがニュアンスの違いとして感じられたりすることもあるのが人間の感覚です。そのような微妙な違いを表現するのには、リコーダーはあらゆる楽器の中でもとりわけ優れているという風に僕は思っています。

5 「蛍の光」の始まりを吹こう!

1回目のレッスンは「ほたるこい」が吹けるようになるまでで十分かなと思っていたのですが、とても順調に進んだので、「蛍の光」も始まりのところだけやりました。これはアルトでやりましたので、アルト用の楽譜をご覧ください。今回やったのは、前半8小節のうち、さらにその前半の2小節です。

楽譜13

細かい説明より先に、レッスン動画の方をご覧くいただくことにしましょう。これが今回最後のレッスン動画(5/5)です。

4小節のフレーズは、さらに2小節ずつのフレーズからなっていて、そのうち最初の2小節は、さらに1小節ずつのフレーズ2つから成っています。

楽譜14

(ちなみに、曲の冒頭は「弱起」といって、4分音符1つしかありませんが、最初に4分休符3拍が省かれていると見ると良いです。ここは小節数に数えず、最後の付点2分音符のラ(a'')がある小節が4小節目と数えます。また、最後の小節は弱起の拍数だけ短くして4分音符3拍分にしてあります。)

ではまず、最初の「ほーたるの」に当たるところから練習開始です。

楽譜15

最初のソ(g')はソッと吹いて、次のドードドーは堂々と!と動画の中でダジャレを言っていますが(笑)、このように、低い音は柔らかく吹いて音が上がるのに向かって息を増やして行くと起伏のある音楽になります。初心者の方は、息が足りなくて最後のド(c'')あたりでは弱くなってしまうという傾向もよくあるのですが、ランディさんはしっかり最後まで息を保てていました。「ほーたるの」と歌っているつもりで吹いていらしたことと思います。

続いて「ひかーり」に当たる部分です。

楽譜16

今度は、高く始まっていますから、最初のミ(e'')は強すぎない程度にたっぷり息を流しましょう。そこから最後のレ(d'')に向かって収まっていく感じです。このように楽譜15、楽譜16の2つの短いフレーズが練習できたら、続けてやってみましょう。

楽譜17

2小節の全体としては、第1小節4拍目のミ(e'')が頂点になるので、最初のソ(g')を静かに始めたら、このミ(e'')に向かって少しずつ息を増やしていきましょう。このミ(e'')は、後半の始まりなので、その直前に息をちょっと吸って構いません。3拍目のド(c'')から4拍目のミ(e'')に移るときは、左手の薬指と中指の2本を上げます。指を迷うかもしれませんが、短いフレーズの始まりだと意識するとそれもうまくいくと思います。

さて、その次は2小節ひとつながりのこんなフレーズが来ます。

楽譜18

ミ(e'')からド(c'')に落ち着いたら、そのまま高いラ(a'')に向かって上がって行きます。リコーダーでは、音が高くなるにつれて息の量が増えますから、このようにゆったり上行する音形はとりわけ伸びやかな表情になります。最初は息が足りなかったりして、思い通りの伸びやかな音が出せないかも知れませんが、しっかり息を吸って、柔らかく吹き始めると息が続きやすくなります。

さて、指は、3拍目のミ(e'' 運指は01)から4拍目のソ(g'' 運指は2)に移るのが難しいかもしれません。「3 アルトリコーダーでいろんな音を出してみる」のところで書きましたが、楽器を安定して支えるには、口と右手親指で楽器をしたから上に支える他に、表側の孔を上から下に押えて安定させることが必要です。この表側の支えを担う指は、ミ(e'')では左手人差し指ですが、ソ(g'')では左手中指になります。表側の支えが交代するときに一瞬支えが不安定になるのですが、それを避けるには、右手の小指で足部管の上端の出っ張っているあたりを触っておくと良いです。そうすると右手小指が表側の支えを担うことになって、楽器が安定します。(そんな難しさを感じることもなく指が動かせたなら、ここの話はあまり気に止めなくても良いでしょう)

一番大事なのは、一つ一つのフレーズを味わいながら、気持ちよく吹くことです。部分部分を練習したら、今度は、楽譜14に戻って最初から4小節のフレーズを続けて吹きましょう。よく知られている曲ですが、改めて練習すれと、語りかけるような短いフレーズ2つを受けて2小節の伸びやかなフレーズが来るのがとても味わい深く感じられないでしょうか。このように、曲想を感じ取って音に現していくようにしながら練習を進めましょう。

第1回の後記

「私は初心者です」とおっしゃるランディさんに基礎から丁寧にレッスンして、そのポイントを文章でも書いていけば、独習する初心者の方々に大いに参考にしていただけるのではないか。そうして書き始めた第1回目の記事でしたが、1時間弱のレッスン内容でも文章にするとこんなに長くなるとは、書き始めたときには予想もしていませんでした(笑)。初回でお伝えすることが多かったからとか、ページ数を気にする必要がなくて楽譜の画像もどんどん載せたから、とかもあるわけですが、つまりは楽器の習得のために学ぶことは分量にすればこのぐらいたくさんあるということなのでしょう。

最初に書いたように、教材として使うPDFファイルを見ながら、5つの動画合わせて1時間弱をご覧いただくだけで十分です。文章を読めば、あとは自分でやるというタイプの方もいらっしゃるかもしれませんね。ご自分に合ったやり方でこの記事をご利用ください。ランディさんが順調にすぐできてしまって、大事な説明抜きで先に進んだところなどもあるので、動画だけでわからないところは文章も読んでいただければよいかとは思います。たくさんの方にリコーダーを楽しんでいただければ嬉しいです。

第2回は、楽譜の読み方(特にリズム)の基本をやろうかと思います。どうぞお楽しみに。

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