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今日を奏でる詩(アムモな話)


ずっとずっと
無垢な過去にとらわれて
未来に向かって走れば走るほど
沢山の甘美な日記が走馬灯の様に駆けてゆく

悲しさではない
表現すらできない
温かな
或いは冷たい涙が
両の瞼から流れては
不器用な自分を愛でて安堵する日々

晴れた日の空を見上げて居心地が悪くなり
時に冷たい勢いで吹き抜ける風は
真っ白な素肌に
稲光を彫るみたいに痛くて安堵した

雨が降った日は素直に身をまかせ
どうなっても良いと自暴自棄に
人混みの群れで
濡れた砂利の一番黒い石を探し
右足で蹴った

見えない感情の津波に襲われるから
知らない誰かから差し出される
甘い甘い飴玉を急いで口にふくんだ

あまりに正直な人が
わたしを今日も褒めてくれる
あまりに歪んだ心は
湖に墨汁を一滴たらしては
どうにかバランスを保つだけ

今日は天気予報によると
一日中曇りらしい

だからわたしは迷わずに
駅前の地味なコンビニで
一番甘いお菓子を手に入れ
確かめる様に空を見上げた

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