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苦労噺⑥ 完璧な一日

3日目、私は完璧な一日を過ごした。
比較的早起きして明るくなってきた部屋で資格勉強をした。スーパー氏はもう起きてどこかに言っているようだった。

勉強がひと段落すると、朝ごはんの買い出しに行った。朝の散歩にちょうど良いくらいの距離にコンビニがある。
ヨーグルトなどを帰ってリビングへ行くと、スーパー氏と個室Aの住民(ビールが好きなのでビール氏とする)がヨガをしていた。実に健康的である。私も少し参加させてもらい、久々に丁寧に体を動かした。
日が当たるリビングでのんびりと食事をし両氏と談笑した。
その後出勤し、いつもよりさわやかな気分で仕事に取り掛かった。
完璧な一日の始まりである。

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私は仕事帰りによく職場近くのバーに行く。
バーのマスターはちょっと変わった人で、飲みに行くといつもちょっと風変わりな知恵を授けてくれた。人の見た目についてはあまり言及しない私であるが、マスターを初めて見たときはゴリラを思い浮かべたのは内緒である。

仕事を終え、完璧な一日の締めにバーに行くと、マスターはいつも通り私を迎えてくれた。しかし私の完璧な一日の話には何とも言えない顔をした。
「そんなに家で人と関わりたいものですか?」
とマスターは言った。
「たまには一人になりたいこともあるけれど、たまにはいいものですよ。ベッドに入ってしまえば一人のようなものですし」
と私は返した。
「私は無理だなあ」
マスターは何か思うところがある顔でグラスを磨いていた。

雲行きが怪しくなってきたのは、このすぐあとくらいだったか。
家で常に他人とかかわり続ける息苦しさが徐々に忍び寄ってきていた。

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