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トルコの風景たち②



4日目 気球

トルコを旅行するにあたって目的にしていたことが二つあった。
一個目はカッパドキアで気球に乗って風景を見ること。二個目は友達に頼まれたガラタサライのグッズを買ってくることだった。二個目については長友が昔いたチームぐらいとしか俺は知らなかったのでさておき、一個目は旅のかなり最重要項目だった。
気球のツアーは事前にHISで3万円とか払って予約していた。海外のサイトだと1.5万とかで中国のツアー会社もあったがこれは墜落しそうで怖かった。

ツアー前日の夜、カッパドキア周辺の強風が予想されたため中止の連絡が入った。どうしようと思っていたら宿の主人がこう提案してきた。
「ここから少し離れた所でなら気球を飛ばせるみたいで、今から予約できるけどどう?」
値段が2万円弱。それもギリ墜落しそうな値段ではあったが、もうWi-Fiも失くしていたため失うものはなかった。即金で申し込み。


それでカッパドキア2日目の早朝4時。夜明け前をバスで1時間ぐらい揺られて谷底の離陸地点へ。他にもツアー客が沢山つっかえていて、紅茶を飲んで待たされること30分、ようやく気球に乗り込む。
離陸してものの数分でこれは完全に死ぬな、という高さまで上昇してしまった。もう墜落は一旦受け入れることにして、ある程度の高度で周囲を見渡すと絶景が広がっていた。
谷あいの特徴的な岩場の上をいくつもの色とりどりの気球が時が遅くなったようにゆっくりと浮かんでいた。幻想的としか言えない。


谷の上に着陸。回収のバスが来るまでに1時間ぐらいかかり、次の空港までの移動時間がかなりカツカツになった。
宿を爆速でチェックアウトしてカッパドキアからカイセリ空港まで貸切のバスで移動。普通に俺も友達も朝早かったため爆睡していた。治安が悪い国ならここで人気の少ないとこに連れてかれて身ぐるみ剥がされてもおかしくない。
カイセリ空港からイスタンブール空港までまた飛行機で爆睡。後から友達に聞いたが着陸が荒くてワンチャン死ぬと思ったらしい。


イスタンブールでホテルにチェックインしたら移動疲れでもう動けなくなった。とりあえず近くの大衆食堂へ。ピラフとシチューみたいなのを食べながら現地の客に混じって店内のテレビを見ていると、イスタンブールのちょっと離れた場所でテロがあったらしい。(そういえば街中に異様に警察がいた)
この日はやんわりと死ぬリスクを掻い潜りすぎていた。ご先祖さまに感謝し、疲れたのでホテルで秒で寝た。


5日目 イスタンブール

9時ぐらいに起床。イスタンブール旧市街を散策することに。
イスタンブールは街並みとか通行人の見た目は完全にヨーロッパのそれだった。その代わり歩き煙草とポイ捨てが異常に多い。家の近くの住之江区でも大概多いと思うがそれの2倍ぐらいあった。ヨーロッパとアジアの結節点であり、海峡に面した街は坂が多かった。

ケバブのサンドイッチを食べて市街を散策。本場のトルコアイスに翻弄されたり絨毯屋(ぼったくり)をかわしながらアヤソフィア大聖堂に着く。
アヤソフィア。6世紀にギリシア正教の聖堂として建築されたものがそのままイスラム教のモスクに転用されて現存している。一千年以上の歴史が確かにその建築に詰まっていた。

ついでなので隣のトプカプ宮殿も見る。実際の宮殿の中にオスマン帝国の宝物が展示されているのだが、海外の博物館というのは注意書きが読めないのでえらい退屈だった。あと普通に毎日移動続きで歩いてばっかで疲れていた。
グランドバザールという市場にも行ったがブランド品のパチモンが多い上にありえん混んでおり、お土産はあまり買えずさっさと退散した。


地下鉄でホテルまで帰ろうとしたが切符の買い方が分からず、40秒ぐらい経ったら自動的に100リラが券売機に飲み込まれてしまった。ふざけないでほしい。なんで初日と合わせて1500円もトルコの鉄道に寄付しなあかんねん。利用方法を複雑にして金を巻き上げる作戦としか思えない。


我々は憤りながらとぼとぼと歩いた。そしたら道端にあったんですよ。ガラタサライのショップが。サッカー全然知らんけどテンション爆上がり。店員さんに「長友のシャツある?」と聞いたら「ない」と言われたので別の人のTシャツを買った。
結果的に当初の目的も全て達成でき、足の疲れも吹き飛んでバルのテラス席でビール飲んでイスタンブールの最終日を締めくくった。


帰路

帰りの飛行機はなぜか遅れていた。1時間遅れでイスタンブールを離陸したが、トランジットの時間がかなりギリギリになると見込んでいた。
アブダビ空港に着陸するや否や早歩きで飛行機を降りると、空港職員が我々に
「to TOKYO?」と聞いてきた。
もしかしてちょっと待ってくれんのかな?と思って「イエス」と答えると、
「ハリーアップ!ラン!」
いや言われんでも急ぐわい。なんで一回呼び止めた?友達と悪態をつきながらアブダビの無駄に広い空港を全力疾走しながら、次トルコに行くときは直行便にしようと思いました。


よろしゅうおおきに