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トルコの風景たち①

会社の長期休暇で一週間トルコに行ったのでその日記です。

初日 エフェソス

イスタンブール行きの飛行機は16時に成田発だった。
長休はオールして迎えるという大阪支店の謎の慣習で夜通し飲んでいたため、完全な寝不足でパッキングも適当に関空から成田に向かった。(あとから数えると8日間の旅行なのにパンツが5着しかなかった)

東京に住む会社の友達と成田で合流。友達もオールしてたらしいので出発する前に企画倒れになる可能性もあったがなんとか集合できた。
行きはトランジットを挟んで計18時間のフライト。日本とトルコは6時間の時差があるので、地上より6時間長い夜を空の上で過ごすことになる。その間機内食が3食もあり、途中から夜飯か朝飯かよく分からなくなっていた。
こうして現地の朝6時にイスタンブールに到着。


初日の目的地はトルコ西部のエフェソス遺跡だった。
イスタンブールからそのままイズミルという都市までまた飛行機。1時間だけのフライトだったがここでも機内食のサンドイッチが出てきた。成田で食ったサブウェイも合わせると24時間で5食ぐらい食っている。柔道部か?

イズミル空港からエフェソス最寄りのセルチュクという町まで電車移動。トルコ版のSuicaみたいなのを買ったが、チャージ方法が分からず200リラぐらい一気に突っ込んだらそんなに要らなかった。払い戻しもできないため早速貴重な現金を失う。(レートは1リラ=5円弱)



セルチュク着。わりあい田舎町。
遺跡は街から若干離れたところにあったのでまた乗合バスで移動。移動続きだったので正直眠い。ほんで遺跡の入場料が700リラ(3500円)。意外とたけえ。こちとら飛行機疲れと200リラドブに捨ててるのでテンションが低かった。

しかし入場して少し進むと度肝を抜かれた。
左手にコロッセオみたいな円形の劇場跡。右手に石畳の広い道。雄大な石造りの街が千年以上の歴史をたたえてそこに存在していた。
1時間ほど遺跡を見てまわった。日本で竪穴式住居とか作っていた時代によくこんな都市設計ができるなと古代ローマ人に感心する。

博物館を見てから町の料理屋のテラス席で晩飯を食べた。
鶏肉のケバブを食べていると野良犬がこちらをめちゃくちゃ見てくる。トルコは野良猫が多いと聞いていたが、セルチュクは野犬が多かった。とはいえ東南アジアとかにいる狂犬病を媒介してそうな野良犬よりはちゃんと人に懐いている。無視して食べていると膝の上にまで乗り込んできたので、見かねた店主がペットボトルの水をかけて追い払ってくれた。

ホテルまでの帰路、現地の小学生たちに絡まれる。
スタンドバイミーに出てくるガキ大将のクリスみたいな子供に英語で「どこから来た?」と聞かれる。
「日本から」と答えると、子供は両手をこちらに差し出して「コイン、コイン」と言った。途切れ途切れの英語から察するに日本の貨幣を記念にくれ、という意味らしい。ちょうど10円玉が1枚あったので渡してあげた。
「ハウマッチ」と聞かれたので、「1000リラ」と冗談を言ったら目を丸くして喜んでいた。ごめんそれ2リラ。



2日目 パムッカレ

2日目はパムッカレという世界遺産が目的地だった。
デニズリという都市まで電車移動する予定だったのだが、駅で切符を買おうとしたら売場のオバハンに塩対応をされる。俺の英語が下手すぎるせいかと思ってよくよく聞いてみたら、発車時刻がネットで調べたのと違って既に電車は行ってしまったらしい。

調べると2時間後に出る高速バスでなんとか移動できるとのこと。オトガル(トルコのバスターミナルの総称)でバスを待つ。


トルコの高速バスはかなり発達しており、乗車するとお菓子とか飲み物が出てきた。のはいいが、ペプシをおかわりし過ぎたせいで途中で猛烈にトイレに行きたくなった。
奇跡的にドライブインに寄ってくれたのでダッシュでトイレに駆け込んだ。トイレの入り口にゲートが設置されており、横にいるおっさんに10リラを渡さないと入れないシステム。なんでトイレに金払わなあかんねん。前日無駄にした200リラがあれば20回小便ができた計算になる。

なんやかんや爆睡しているとデニズリ着。
パムッカレまでまた乗合バスで移動。ギュウギュウのバスで20分揺られてパムッカレに着く。
入場料がまた700リラ。たけえ。こちとらバス移動で疲れている。おまけにパムッカレは下調べしていたときがっかりスポットみたいな評判もあった。こんな移動して金払ってがっかりさせられたのでは困る。


しかし入ってすぐに目を奪われた。
石灰質の雪のような真っ白な地形が見渡す先に広がっていた。地形の保護のため裸足になって地面を踏みしめて歩く。ところどころ水が流れていて楽園のような風景だった。

そのあと近くで晩飯を食ったのだが、店内がガラガラで値段が微妙に高かったのとやけに陽気な店主が「Googleマップで星5をつけろ」と言ってきたのを覚えている。友達は満足そうだったがあれは観光地をダシにした半ぼったくりだったと思う。観光地に近すぎるとこで飯は食わん方がええ。



デニズリに戻った後はカッパドキア行きの夜行バスで移動する予定になっていた。
チケット売り場でバスの乗り方を確認していると、窓口の中にいたオッサンに「カッパドキアのツアーは申し込んだか?」と聞かれた。
「まだ」と答えると、「ツアーは絶対申し込んだほうがいい」「日本人もみんな申し込む」などセールストークが始まった。

おれはベトナムで散々ぼったくりを見たことがあるので海外で押し売りしてくるやつは全員ぼったくりだと思っている。が、カッパドキアはエリアが広く、個人で観光をするのは難しい上に予定も決まっていなかった。そこまで高くなかったので結局即金で申し込むことになった。

翌日の予定も決まったとこでバスがやってきた。カッパドキアまでは8時間。日本のと寝心地的にはあまり変わらないシートで眠りについた。



3日目 カッパドキア

3日目。夜明け前のギョレメという町に到着してすぐ、非常にまずい事態が発生。
日本で借りてきたWi-Fiが鞄のどこにもなかった。俺が夜行バスに置き忘れてきたらしい。つまりネットが使えないということで、移動もできないしなんなら泊まるホテルの場所も分からない。リアルにカッパドキアで遭難する危機に瀕していた。

友達はこの時全く笑っていなかったので多分キレてたと思う。怖かったのでなんとか気合いでホテルの場所を探し出し、宿のWi-Fiを借りながら遺失物届けを出したり翌日以降の旅程を確認したりした。


一応ツアーの時間にバスが迎えにきたので参加。
バスに乗せられて最初にカッパドキアの高台に連れて行かれたがこちとらWi-Fiを失くして気が気ではない。おまけにツアー参加者が僕らの他にトルコ人の女性3人組だけで大層やりづらく、旅行中というのにテンションは地の底にあった。


しかしバスを降りると、目の前に絶景。
カッパドキアの奇岩群が一面に広がっていた。日本ではおよそ見ることのない地形の異質さとその神秘さに感情を揺り動かされていた。

そのあと地域の特産品の紹介というノリで、eymenとかいうラップスタア(※1)みたいな謎ブランドのファッションショーを見る。何故かそこの服を着てランウェイを歩かされたあと売店に連れてかれたのだが、ここは完全にぼったくりだった。ユニクロでも売ってそうな服が全部2万ぐらいする。友達は結構買わされそうになっていたがなんとか逃げ出した。


そのあとも洞窟に行ったり谷あいをハイキングしたりした。一緒に参加してるトルコ人とも仲良くなった。イスタンブールの近くから会社の同僚3人で旅行に来てるらしい。こちらの職業を聞かれたので「クレカ会社」と答えると、「ほんと!私たちも銀行なのよ」と。
国内4番手ぐらいの銀行と言ってたのでトルコのりそな銀行だと思う。インスタをもらったので帰国後もストーリーにたまにトルコ語が流れてくる。



夕方にツアーが終わり、ギョレメの町を散策した。高台の上から夕暮れのカッパドキアを見下ろすと昼間とはまた違った幻想的な風景が見えた。
友達は「こんないい景色、日本では見られないな」とえらく感動していて、俺がWi-Fiを失くしたのはもう時効になってそうだった。めでたしめでたし。


(※1)…eyden。ラッパー。



↓つづき


よろしゅうおおきに