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発達女性と女性コミュニティについて。

注意欠陥多動障害(ADHD)や自閉症スペクトラム(ASD)などの発達障害を持つ女性で、女性コミュニティにおける人間関係をとても苦手に感じている人は少なくありません。「彼氏はいるけど同性の友人は一人もいない」という発達女性も珍しくないようです。
特にASD女性の場合は、同じASDの男性に比べて社会性は高い反面原因不明の体調不良に悩まされている人が多いと言われます。これは元々の脳の特性というよりは社会性が同世代より未熟のまま同調圧力の強い女性コミュニティに小さい頃から取り込まれ適応を余儀なくされるストレスからくる二次障害だと個人的には思っています。

発達女性が同性より異性とのほうが相性が良い理由

彼氏や夫のいる女性当事者はADHDに多いと言われますが、ASD女性も同性よりも異性との方が相性が良いという人は多いです。同性からは「自分とは違う→変わってる」と否定的に見られるASD独自の感覚や思考も異性の場合「自分とは違う→女性はそういうところもあるんだろう」と寛容的な目で見られるからかもしれません。女性グループでワイワイ盛り上がる恋バナには全く興味はないけれど気の合う男友達は何人かいてその一人と結婚したというASD女性も少なくないでしょう。

一方でASD女性は同性グループからハブにされたり女性の先輩から目をつけられて意地悪をされるケースが多いようです。単独行動が多いこと、自分の意見をハッキリ言ってしまうこと、あるいは逆に警戒心が強く他人と打ちとけようとしないこと等々、同調圧力の強い女性コミュニティの中で「浮いてしまう」ことが原因だと思われます。
先述の理由で男性からモテるように見えるのも他の女性からは嫉妬を受けやすい原因かもしれません。
ADHD女性も直感と衝動に任せて本音をズバッと言ったり度々ドジったりする姿が男性からは「面白い」「天然キャラ」と好意的に見られやすいですが、やはりそのことで同性からやっかまれてしまいがちです。

私自身は特に同性のほうが苦手というのはないのですが、それはおそらく私がいい年して独身でしかも肩書も学歴も容姿もパッとしないので多くの女性にとって「安心な」存在だからだと思います。
「他の女性にとって脅威にならない」「他の女性が羨ましがる要素がない」というのは女性コミュニティの中で平和にやっていく上でむしろ強みになるのかもしれないと苦笑しています。
本来凸凹の凸を生かすことが勧められる発達障害者なのですが、その「凸」が同調圧力の強い女性コミュニティにおいては脅威に映ることがあるのが難しい所です。

定型女性にもキツい「女性コミュニティ」

職場における女性コミュニティは複雑です。大卒/専門卒/高卒、既婚/独身、正社員/派遣社員、総合職/一般職等異なる属性の女性同士が四六時中一緒の場にいてお互い協調していくことを求められるわけですから誰もが疲れてしまうのです。実家暮らし/一人暮らしも女性にとっては対立の要素となりえます。今後は女性管理職の増加により、男性と同じく管理職/一般社員間の対立も増えていくでしょう。

定型同士でもお互いの属性があまりに違いすぎると次第に話が合わなくなって離れていくことが多いです。それまでどこに行くにも常に一緒だった女子二人組が一方の結婚出産を機につるむことを止めたパターンもこれまでに何度も見てきました。特に嫉妬などがなくても、単に目先の関心事が既婚子持ちと独身とで違ってきてしまうからだと思います。
本来、発達とか定型とか関係なく人は自分と近い属性の人に共感するだけなのかもしれません。

何故、女性コミュニティが排他的になりやすいのかというと一説には女性に多い「オキシトシン」というホルモンの影響と言われます。
「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンは共感や社会性、身内に対する愛情を高めると言われ、ASDの特性である共感力・社会性の欠如を改善する薬として期待されていますが、その一方で部外者に対する排他感情も高めてしまいます。これは元々自分の子供が生まれたときに外敵から守るためという母親の本能から来るものらしいですが、大人同士のコミュニティの中では時にはトラブルを引き起こすものだと思います。
社会性の向上は魅力的ですが、排他的には絶対なりたくないので、将来オキシトシンがASD治療薬として入手可能となっても私は手を出すつもりはありません。

「女の園」の職場は避けよう

仕事探しにおける「こだわりポイント」は人によって様々だとは思いますが、一つ言えるのは「女の園」と言われる職場は避けたほうが無難ということです。
男性の多いメーカーでも最近は人事や総務、経理などのバックオフィス系の部署は女性が過半数を占め、課長や部長も女性というところが増えています。
「上が女性なら女性社員の悩みも理解してくれるし部下としてはやりやすいだろう」と思われるかもしれませんが必ずしもそうとは言えません。
今の部長世代の女性の多くは若い頃に男尊女卑の職場文化の中で散々苦労して文句のない実績を積み上げて地位を得てきた強靭なメンタルの持ち主で良くも悪くも体育会系です。こういうタイプは男性社員にも厳しいですが女性社員にも決して甘くはありません。
特に何かとポカミスの多いADHD当事者や何故かいつもズレた反応をしてしまうASD当事者はこのようなバリキャリ女性上司をイライラさせてしまう存在です。
そんな女性上司の周りを固める取り巻き女性社員達、その女性上司に密かに反発しているベテラン一般職のお局様、うまく周りに仕事を押し付けて早帰りするワーキングマザー、優秀だけど生意気な新人女性...そんな魑魅魍魎の中で発達女性がうまく立ち回るのはとても難しいことだと思います。仮にうまく立ち回れたとしても半端ないストレスで体を壊すかもしれません。

仕事選びにおいて「女性が多い職場かどうか」はチェックポイントに入れておくのが吉かもしれませんね。

「少数の友人と」「ほどほどの距離感を保つ」ことが長続きのコツ

発達障害の女性は同性の定型発達者のように大人数のグループで女子トークで盛り上がったり、毎日のように友人たちと食事に行ったり遊びに行ったりするのは苦手という人が多いと思います。

でも、大人数でワイワイ騒ぐより静かな場所で一対一で語り合うことを好む傾向がある人にはそもそもそんなにたくさんの友人は必要ないのかもしれません。自分と同じ趣味の人などは共通の話題で盛り上がれるので仲良くなりやすいのではないでしょうか。

しかし一対一の関係は時として相手に執着し過ぎてしまい相手を疲れさせてしまう危険性があります。同じ靴を毎日履き続けて履きつぶしてしまうように特定の相手につきまとい相手の気力を吸い上げてしまうのです。私も20代の頃にそのような関わり方をしていたために結果的に友人関係が壊れたことが何度かありました。
「外モード」(発達障害者が社会に適応するために定型発達者のようにふるまう状態)を保てるぐらいのほどほどの距離感を保つことが、結果的に友人関係は長続きすると私自身の経験からも思います。

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