キャンパスを汚すのはいつも絵の具
机の上、散らばった要らない絵の具。
他人の愛は色んな色をしているわ。
貴方は青で、
貴方は黄色、
貴方は緑、貴方は赤。
其れは鮮やかで何とも綺麗。
受け取ってはみてみるけれど、
蔑ろにする気はないのだから御礼を言わなければと強迫するあたしただ、
「ありがとう」と薄っぺらに
乾いた唇でなぞった。
この絵の具に、
何の魅力なんて無い。
貴方はあたしを染めたいのかしら。
この色に。
あたしを白を汚したいのかしら。
其の色に。
嗚呼、
吐き気がする程
煙たいわ。
最高に最悪で残念なのだけれど
君の絵の具じゃあたしの色は変われない。
あたしの色を代われない。
あたしの色は買えない。
ケースに並べた
色とりどりの鮮やかな絵の具。
どれにも染られない。
あたしも残念よ。
愛の絵の具は嬉しいけれども
染められない白を。
あたしはそんなあたしの白色を、
何となく
残念に
想ったのよ。
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