トアールの使用法について考察してみた
今回の眼鏡作製技能士の試験で、トアール(±0.25)2個の使用としてある。
いまだ、2個の使用法については考えが至っていないが通常の使い道は分かる。
私は普段からクロスシリンダーとトアールはセットとしてよく使う。
どういう時に使うかというと、視力が上がりにくい被験者にあたった時とレッドグリーンの反応が良くないときだ。
クロスシリンダーのテストに入る前に絶対に実行しなくてはならない項目がある。
それは前焦線と後焦線の間に網膜を挟まなくてはならない、すなわち最小錯乱円を網膜上に持ってくる必要があるということだ。
理由は長くなるので省くが、これが出来ていないと正確な乱視検査は行えない。
最小錯乱円を網膜上に持ってくるために行う検査として、通常ならレッドグリーンテストを使う。
レッドグリーンテストは良くできていて光の波長の長さの違いを利用することで行う。
短波長の緑はよく曲がり長波長の赤は曲がりにくいのを利用する。
まあ、単純に赤と緑が同じくらいに見えたら網膜上に最小錯乱円が来ているということだ。
ところが、まれにレッドグリーンテストに反応が良くない被験者にあたることがある。
他覚検査の精度が低いときとか、そもそも検査の意味が分からない、伝わらないという場面だ。
そんな時にトアールが有効になる。
検査法はトアールを上下させプラスとマイナスをと入れ替えながら、単純にはっきりする方はどっちか聞けばよい。
マイナスの方がピントが合うと言えばマイナス側に、プラスの方が良いといえばプラス側に変えていけばよいので簡単だ。
この時、過矯正かどうかは関係ない。
問題は最小錯乱円が網膜上にあるかどうかだけなのだから。
もうひとつはお年寄りの免許更新等で視力が上がりにくい、無理矢理でもあと0.1視力を絞り出したい場面でよく使う。
クロスシリンダー検査のときに等価球面補正ではなくトアールを使って常に最小錯乱円を確認しながら行うやり方は、私の得意技の一つでもある。
試験の話に戻そう。
多分だが視力の上がりにくい被験者及びお年寄りはさすがにないと思われるので、トアールの使用法はレッドグリーンテストの替わりか、バランステスト時に使うぐらいしか思いつかない。
バランステストにトアールは使えると言えば使えるのだが、そもそも±である必要性がない。
-0.25Dのレンズを片眼にかざすだけで事が足りるのだから。
となると、レッドグリーンの替わりになるのだが、はたしてレッドグリーンが判別できないほどの設定になるのだろうか。
もし、そのようなことがあるとしたらかなり鬼畜な設定と思われるが(笑)
まあ、試験を受けられる方は準備をしておくことに越したことはない。
試験まであとわずか、受験者のご健闘をお祈りします。
少しでも参考になれば幸いです。
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