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ソフトチネイザン

タイ古式マッサージをやると、頭に上昇したエネルギーが下へと下がり、考えすぎや妄想で生じる不安や心配が静止します。そして、タイ古式マッサージを何度か繰り返していると、今度はお腹で考えていることが頭へと伝わるようになります。そのカギとなる重要な手技が「ソフトチネイザン」と呼ばれる腹部に手を当てて振動を引き出す技法です。腹部に「ポン」と手を置くと、私の手の平に風が集まってきて、腹部の内側の奥深くより激しい振動が起こります。
腸は「第二の脳」とも呼ばれており、幸せホルモン(セロトニン)が分泌されるそうで、「セロトニンのおよそ90%は腸内で生成されていて、分泌に大切なことのひとつに「腸マッサージ」が挙げられていました。2000年以上も前のタイ伝統医学の1つであるタイ古式マッサージに、セロトニンの活性化を促す技法(ソフトチネイザン)が残っていたとは驚きましたし、そのことに気がついた時は深く感動しました。
セロトニンはホルモンではなく自律神経を整える「神経伝達物質」で、自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。セロトニンが分泌されていると、2つの自律神経のバランスが整い、気持ちの浮き沈みが減り、ストレスやイライラも軽減されるそうです。このように脳と腸は密接に繋がっていて、脳と腸、そのどちらも思考します。
「損か得か?」を考えがちな思考に風が揺さぶりをかけ、胸で感じた愛や情熱(水)を通して、損得抜きの志に火がつくと、地に足を着けて歩むようになります。※タイ伝統医学では、「人間のカラダや健康は、四大要素(風、火、水、土)の調和や循環によって保たれている」と考えています。
ソフトチネイザンは頭で考えることが優先になりがちな現代人の「お腹で思考する」回路を開きます。風はお腹の緊張や硬さを潜り抜けて、本質(本気)へと近づきます。
「セロトニンの分泌に腸マッサージがおススメ」と言っても、ソフトチネイザンの場合、グリグリ、ゴリゴリ、意識して意図的にお腹をこねくりまわすのではなく、ただ手を腹部に置くだけです。「痛みや刺激によって腹部の硬さが改善された」と脳が間違った解釈をしないよう、私は自分の手を動かさず、内側より生じる自然治癒力のあらゆる調整や循環が終わるまで、静かにじっと待ちます。その後のこと(タイ古式マッサージで起こること)は、風にまかせてゆだねます。
読んだ記事の中には「腸の活性化によい食べ物」についても言及されていましたが、タイ古式マッサージでもよく「今〇〇を食べると好いことがあるよ」という提案が降ってきます。これはきっと「喜び、楽しみ、やる気」という幸せへと導くための風のささやきなのでしょう。
風を扱うタイ古式マッサージは、2000年以上も前の古い技法ですが、「風についてあまり知られていない」という点では、画期的で合理的で斬新なボディワークです。風に触れると、自分の中の心地よさへと繋がります。自分の中のいいところに気が付きます。自分の好いところに気が向けば、自分なりの幸せがわかるようになります。
今回は、腹部の調整法=ソフトチネイザンを現代の解剖生理学的な情報や知識と結びつけてみました。ソフトチネイザンで生じる振動は腸だけではありませんが、分析や解釈はそこそこにして、自然のまま、ありのままのカタチで残されているタイ古式マッサージを皆様にお届けできるよう、これからも色々なことを気にしないように、色々なことが気になり過ぎないように、気を楽にして日々を過ごしていきたいと思います。「気を楽に過ごしていきたい」という私の純粋な欲が損得や忖度にならないよう、時々自分の気から離れた「気の持ちよう」をタイ古式マッサージが教えてくれます。
気楽に生きるようになるヒントが入っているタイ古式マッサージをぜひお試し下さい。

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