その背を押さないでください

その背中を押さないでください

これからが見えなくて不安と
誰もが言うけれど
未来を知れなくて怖いのは
いつも誰も同じでしょう

違う そんなことじゃない
心にかかる蜘蛛の巣は
幸せがどこにも見えないせい

ひとり ひとりが 照らされて
満たされぬ繋がりが巡っても
心が分け合えていないから

だからその背を押さないでください
ただ、あなたにいてほしいだけ

幸せのかたち 違っていることに
怖がらなくていい
何を大切にしたいと思えるかは
あなたが決めることだから

違う 普通 みんなが
溺れるくらいに流れてく文字には
わたしにとっての幸せがない

愛し合う人でも 分け合えない
ものもあって 寂しくなるけれど
そんな切なさがあるから
あなたをもっともっといとおしく想うの

だからその背を押さないでください
寄り添っていたいの 幸せのために

©2016 　 　緋月 燈