深緑とパールとカメオ

画像1 近くの子ども服のお店が閉店する。とても可愛い女の子の服が、いつも仕事帰りで疲れた心を「ほっ」とさせてくれていた。閉店がわかって、初めてお店に入った。自分の子どもは大きくなってしまったけれど、いつも、可愛いお洋服に癒されていたのですよ、と一言伝えたくて。理由はわからないし、聞かないけれど、お洒落な洋服は、コロナでお出かけが減った影響を受けたかも知れない。いくつかの買い物をした。例えば、クッション性のあるディスプレイ用の額。綺麗な深緑が上品で、蚤の市で集めたカメオを出して並べてみた。
画像2 おもちゃのような古いものたち。こんな風に楽しみながらも、なぜか心が痛いのだ。品物が少なくなって寂しくなった店内にいた店主は優しそうで、きっと子どもと、そして可愛い服が好きなのだろう。ピンクの無地のカーテンにレエスのカーテンが二重にかけられている壁に、夢の国のような雰囲気を感じた。「本当に閉めてしまうのですか?」と聞きたい気持ちを堪えると、なんだか泣きたい気持ちになってしまった。
画像3 何か始める時は、夢いっぱい。そして、何かの理由で引き返すことになっても、また始めてほしいのだ。簡単でないとしても・・・私のような人間がいる。イミテーション・パールに縁取られているため、縁の立ち上がりの緑色の布が明るく見える。何も置いていないこの額は、1から考えることを思い出させてくれる。高価であるかどうかに関わらず、私が美しいと思ったものは美しくて、これを手に入れた出会いも、きっと忘れない。ガラス窓から見える可愛い女の子の服は、殆どが私が好きなものだったから。

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