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配達員さんにマスク

私は、緊急事態宣言の日に契約終了を言い渡されてしましました。

働いていた療育施設では、1日に一枚ずつマスクをいただいていましたが、自らが用意していたものを消化して、足りなくなったら使わせていただこうと個包装の物は取ってありました。

突然のことで、担当していた子供たちに挨拶をする時間もなく放心していました。自粛要請の中、電車に乗っていただいたマスクを返しに行くのもどうか・・・。

そうだ。他界した母がよく言っていましたっけ。


『どなたかに親切にしていただいたらその方には返せなくても、心の中で「ありがとうございます。他の方にあなたのご親切をお返しします。」と言いなさいね。』


解雇は親切にされたわけではないけれど、こうして家にいて人と接触せずにいられるのだし、マスクは今、必要な方にお届けするなら良いんじゃないかしら?

私は家にいることでしかコロナの収束に協力することはできないけれど、働いてくださっている方にお返しするなら許されるのではないかしら・・・。宅配便を届けてくださる方に、一枚ずつ、心を込めてお渡しするなら、許されるんじゃないかしら。

ピンポーン!配達員さんです。おかあさんらしき配達員さん。外では、不特定多数の方に接触しなければならないお仕事をしてくださっている。

「ありがとうございます。本当に助かります。みなさんのおかげで・・・。」

「いいんですか?こんな貴重なものを。ありがとうございます!」

と受け取ってくださいました。

一日おいて、お兄さんの配達員さん。「え!いや〜!ありがとうございます!」そう言って野球部の子がするように、帽子のつばを上げて受け取ってくれました。見送ると、階段を降りる前にまた、振り返って帽子のつばをひょこっと上げてお辞儀してくださる。

私は無職になって家にいるし、時間をかけたらネットで買うことができるかもしれないけれど、外でそんな時間もなく働いてくださる方にお渡ししたい。予備のお守りでもいいんです。うっかり落としても、もう一枚あるよっ、ていう安心になるといいな。

そして、心ない対応をする方がいたとしても、感謝している人間が大多数ですよ!心からありがとうございます!

書くこと、描くことを続けていきたいと思います。