回顧録 vol.8 レニングラード観光 エルミタージュ美術館~ネヴァ川
ロシアの水の都と呼ばれる、サンクトペテルブルク。1990年当時はレニングラードと呼ばれていた。
冬に訪れたため、空は曇り足元は溶けかけた雪に石畳といい、モスクワは灰色のイメージが強かった。レニングラードに到着して、建物がカラフルできらびやかなため、灰色に金やクリーム色、水色が加わった。
そのなかでも、エルミタージュ美術館は特別だった。
豪華絢爛とはこういうこと。とにかく圧倒された。
中学生の自分は、白亜と金の階段に赤いカーペットが中央に敷かれているだけで、貴族気分を味わった気になれた。
勿体ないくらいだ。
それから、街を流れるネヴァ川のほとりを散歩したり、観光地と呼ばれるところを回った。また、かの有名なワガノワバレエアカデミーを外から眺めた。
ここへは、ピアノやバイオリンなどで留学している音大生たちと訪れていた。
そして、あちこち回り最後は観劇で締めくくりとなった。
バスで移動中、すっかり寝込んでしまった。
起きるとバスの中には誰もおらず、みなの荷物だけが目に入った。
もしかして、置いていかれた?
小さいので座席に埋もれていたらしい。
仕方なく、みなの帰りを待つことにした。
携帯がある時代ならば良かったのに。
程なくして、体の大きいバスの運転手さんが探しに来てくれた。良かった。
運転手さんと劇場内へ。始まる直前で、ロビーにはお客さんという人は見えず、そこで働く人のみがいた。
自分がロビーに入ると、
「どうしたの?」皆に尋ねられた。
運転手さんに頭を撫でられ、嬉しくも恥ずかしかった。
またまたこんな様子で2回目の観劇も、頭に入ってこなかった。何を観たのかさえ、思い出せない。
無事、全幕が終了しホテルへと戻った。
今ももホテルは健在であると知り、嬉しくなった。
ソ連の人はお店でも無愛想だが、優しい一面もある。
日本人に対しては興味津々で、色々なことを聞かれた。
手袋から持っている荷物まで。
ちょっと触ってもいい?
どこに住んでいるの?
金沢なら行ったことがあるよ!
親しくなると、みな笑顔を見せてくれた。
レニングラード、今はサンクトペテルブルクの思い出は、何と言ってもエルミタージュ美術館の豪華さ。また行く機会があれば、暖かいシーズンに訪れたい。
それから明日ある、モスクワへの鉄道の旅に備え、部屋でゆっくり休んだ。
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