職人の所作を映像作品にするアプローチ|SUMIZOON
クリエイターが一つの作品を制作する姿にフォーカスし、そのオリジナリティを5つの要素に分類して紐解いていく「Creators Perspective」。今回、制作工程に密着するのはビデオグラファーのSUMIZOONさんです。
SUMIZOONさんには今回「職人の所作を映像作品にするアプローチ」と題して、その作品と共に制作背景や実際の撮影方法を披露いただきました。
SUMIZOONさんのような映像作品を撮影したい方は必見です!
今回撮影された作品
SUMIZOONさんが今回撮影された作品はこちら。
こちらの作品を軸に、普段どのように制作活動をされているかについてお話しいただきます。
■アイデアはどこから?
今回の場合はルアンさんに事前にWEBミーティングで(ルアンさん自身が)どんな制作物を作るかについてヒアリングを行いつつ、こちらがどういった映像を撮りたいかを事前にお話しさせていただきました。
彼と話をする中で作品に対する考え、思い、彼そのものに興味を抱くようになり、短く断片的な動画ではありますが、その魅力が垣間見える作品を目指そうと意識しました。
参考にしたい具体的なカットや映像は、過去の映像から参考になるものをピックアップして、そのイメージも含めて本人に共有しています。
■使用機材について
今回メインで使用したのはLUMIX S5IIXです。狙ったポイントにピントを合わせやすく、また5.9Kの高解像度で撮影できることと、撮影後のクロップ耐性が高い点からもこの機材を選びました。
発色が美しく、高感度耐性が高く、熱停止の心配がない。まさに動画撮影でのオールラウンダーと言えます。
また、今回の撮影では、ハイフレームレートや寄りの映像ではG9PROIIを使用しました。
一方ではフルサイズ、もう一方はマイクロフォーサーズですが、混在させても違和感は全くなかったです。
メインで使用したレンズはLUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. です。いわゆる利便性の高い高倍率ズームレンズですが、このレンズは私がフルサイズLUMIXを導入してから一番使用頻度の高いレンズになります。
F4通しなので単焦点の様な大きなボケこそ得られにくいですが、24mmの広角からクロップを使えば150mm以上の望遠として使えるので、レンズ交換の手間がなく確実な撮れ高を上げられるレンズです。また、ハーフマクロとして使えますので被写体にギリギリまで寄る様な撮影では必ず使用しています。
その他、今回大活躍したのは自立型の一脚です。三脚を立てるスペースが無い場所では手持ち撮影が可能なほど手ブレ補正が優秀なLUMIXではありますが、被写体に寄った撮影を行う場合はシフトブレが発生しやすいです。
今回は自立型の一脚を使用し、単にブレを抑制するだけでなく、前後に移動させる事により簡易ドリーとして使用しています。
■撮影場所について
撮影場所はルアンさんの普段の作業場となりますが、そこに入るだけで違う世界に飛び込んだ様な感覚になる場所です。
■撮影風景
それでは実際に撮影を進めていきましょう。
設定について
撮影のプロファイルは編集時に色を触る事を前提にV-Logを使用しています。V-Logで撮影を行うと編集時に色による演出がしやすい事が特徴の一つです。
金属など極端に光る様な被写体がある場合はハイライトの表現のためにV-Log撮影が必要でした。またデッサンのシーンでも大きくコントラストを調整することでより被写体を見やすくする事を考えていましたのでV-Logガンマで撮る事が必須でした。
V-Logはスチルのプロファイル(ガンマ)と異なり標準照度(0EV)からハイライトクリップ(白つぶれ)までのレンジが広くとられており、明暗差がきつい様な状況下においても柔らかい映像を撮影することが出来ます。開放F4のレンズで室内撮影の場面では、ISO4000を多用した撮影も行っています。
構図について
特に写真を撮るときと構図を決めるポイントに関しては違いは無いと思いますが、とにかく映像の場合は一つの構図だけだと見るものを飽きさせてしまいます。そのため、画角に関しては説明的な引きのショットからクローズアップした構図まで手早く撮影することにしています。この点も今回24-105mmを使った理由です。
音声の録り方について
音は映像よりも録るのが難しく、本来であれば別の人にお願いしたいくらいです。音を録るのが苦手な私ですが、XLRアダプター+外部マイクを使用しつつ、どうしても音をしっかり収録したい状況ではエアコンを止めさせていただきました。
ワンオペで動画作品を撮影するコツ
私自身は趣味で映像を撮ってるだけの人間ですのでワンオペが基本ですが
とにかく撮影準備に手間取ると撮影時間が無くなっていきますので、撮りたい構図や設定をいかに早く変更できるかだと考えています。
たとえばカスタムダイヤルを駆使してフレームレートや異なる設定のものを瞬時に呼び出す様に準備していたりします。撮影が始まると「メニュー階層を下がって設定を変更する」ということが絶対に無いようにしています。
撮影で気をつけたこと
金属で光る被写体が多いのでカメラや私が映り込んでいないかは気を付けたポイントです。また、全体的に撮りたい構図やカットの流れを決めてそれをイメージしながら撮影を行いました。とはいえ、ほとんどのケースでは行き当たりばったりです(笑)
■自分らしさを出す編集
ソフトはDaVinci Resolve STUDIOを使用しています。カラーコレクション、カラーグレーディング、編集、書き出しまでをすべてこなせるツールで、使い出してから7年ほどになります。非常に多機能なので未だに使ったことがない機能がたくさんありますが、私はこれがないと動画編集ができないほどになりました。それ以外のソフトは使用していません。
編集では、あまり非現実すぎるトーンは苦手なので割とナチュラルになるようなトーンを意識します。
また、最近のレンズはどれも優秀すぎて周辺まで綺麗に映ります。それ自体は素材を撮るうえで重要なファクタだと思いますが、演出として少し周辺の明るさは落とす様な処理をしたり、より注目してほしいところに視線を誘導する様なマスクをかけることもあります。
私にとって撮影とは
「映像」は本業の傍らやっている趣味です。と言ってしまうと元も子もないのですが、私は動画撮影、編集を通じて多くの人と知り合あう事ができるようになりました。
本業で第一線で活躍されているプロフェッショナルの方とも交流を持つことができるようになったのも、飽きもせず動画を続けているからなのだと思います。
趣味だからこそ、掛けられる時間や拘りというものがあると思いますし、それはきっと人生を豊かにしてくれるものだと信じています。
今回の「Creators Perspective」は以上です。
LUMIX Magazineでは「Creators Perspective」の他に、メーカーの中の人がブランド思想や本音を話す「LUMIX is」、基礎的な撮影スキルやLUMIXの機能をレクチャーする「LUMIX Ability」など、様々なコンテンツを発信しています。
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【今回の使用機材】
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